音像定位における先行音効果とエコー知覚の限界に関する考察(<特集>「感性情報処理の基礎と応用」及びヒューマン情報処理一般)

概要

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室内音場では、直接音はあらゆる方向からの反射音を伴って、聴取者の耳に到達する。このような音場でも、聴取者は、音源の方向を、直接音の方向に知覚する。この現象は、先行音効果として良く知られている。先行音効果は、直接音と遅延音の到達時間差やレベル差によって決定される。それらの要因によって、音像は一つに融合したり、分離して知覚されたりする。すなわち、第一音と第二音の時間差によって、後者はエコーとなることがある。その時間的な境界を、ここではエコー検知限と呼ぶ。本報告では、2音の遅延時間と到来方向を変化した場合、先行音効果とエコー検知限にどのような影響があるかを検討した。信号音は、継続時間の長いピンクノイズ(on 2s-off 2s)と音声(女性アナウンサーの朗読)の2種類とした。その結果、2音源の遅延時間が約0.1〜0.7msの範囲では、両耳間時間差が音像定位に大きく関与し約0.7〜8msで先行音効果が見られた。約8〜17msで後続音側に定位し、約17〜25msにエコー検知限が存在することが確認された。更に、音像定位の状況を詳細に見ると、刺激音の種類によって先行音効果とエコー検知限の振舞いに若干違いの見られることがわかった。
2004-12-10