子どもにおける2つの時間の論理的比較判断の難しさ
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
CRTディスプレイ上を2つの自動車が同方向に走るのを見て, 「どちらが長い時間走ったか, あるいは同じだったか」という判断を, 「時間=終了時刻一始まりの時刻」の知識を用いて論理的に行うことは, 子どもにはなかなか難しい。その難しさの原因を明らかにするため, 運動のない事態や位置のずれのない事態で, この論理を学習させ, それを運動事態に適用するということを, 幼稚園年長組から6年生までの73人の子どもに試みた。主な結果は次の通りである。は)ほとんどの幼稚園児は, 運動や空間的要因といった妨害要因がないときでさえ, その知識を2つの時問の比較のために論理的に操作することはできない。またその論理を教えられても理解できない。(2)小学2年生は, 最も単純な事態ではそのような知識を論理的に操作できる者が5割を越えるが, 空問的要因や運動が目立つときは, それらによって判断してしまう。学習によっても, 両要因を共に克服することは大変難しい。(3)小学4年生では単純な事態において大多数の者が論理的操作が可能であるが, 妨害要因の効果は相変わらず大きい。すなわちその論理が適用可能な課題であると気づかない。しかし学習によってよく克服可能である。ただその定着や転移可能性は低い。(4)小学6年生では, 学習効果の定着や転移可能性の点で, 4年生よりかなり改善が見られる。
- 日本発達心理学会の論文
- 1998-07-30
著者
関連論文
- 中学生における2つの動体の時間と距離の比較判断
- 関係概念としての「混みぐあい」概念の発達
- 4 学習(1)(日本教育心理学会第11回総会部門別研究発表題目・討論の概要)
- S-HTP法による精神健康度と自尊感情,自己効力感,社会性,ストレス反応との関連--ピア・サポートの効果指標として
- 学校における「こころとからだの健康教育」の実践(学校における「こころとからだの健康教育」の実践)
- 時間評価に関する神経心理学的研究の展望
- 大学生による中学生へのピア・サポート・プログラムの効果(1)
- 大学生による学校現場でのピア・サポート訓練の取り組み : 実施方法について
- 大学生による学校現場でのピア・サポート訓練の取り組み : 児童・生徒の自己効力感・自尊感情・社会性における効果
- 大学生による学校現場でのピア・サポート訓練の取り組み--実施方法について
- 大学生による学校現場でのピア・サポート訓練の取り組み--児童・生徒の自己効力感・自尊感情・社会性における効果
- 大学生へのピア・サポート訓練による自尊感情や自己開示, 社会的スキルへの効果の検討
- Effects of Understanding Relational Concepts between Duration, Distance and Speed on the Achievement of Math "Speed" in the 5th Grade
- 小学5年生が時間の比較判断に用いる知識と方略 : 5年算数「速さ」単元の授業前と授業後の比較
- 小学5年生における2つの動体の走行時間と走行距離の比較判断とその学習
- 時間管理能力のタイプと, 自己効力感, メタ認知能力, 時間不安との関係
- 算数の意欲・好感度を高めるための教師の支援
- 時間に関する2つの知識の使い分けへの物理の授業及び直接的な教示の効果
- 現代の男女大学生の性格特性と性役割認知
- 2つの動体刺激の走行時間の比較判断とプランニング
- 心理学における初歩的統計使用の要注意事項集
- 大学生の意欲低下と動機づけ、安定志向、親の養育態度との関係
- 現代の教師に求められる生徒指導の理念と実践 : 家庭の変質の観点から
- 幼児における混みぐあい、数、長さの関係の理解
- 3 学習心理 : a 概念形成(日本教育心理学会第8回総会部門別研究発表題目・討論の概要)
- 心理学者教育の在り方
- 心理学者教育の在り方(研究委員会企画シンポジウム1)
- 教授・学習11(672〜679)(部門別研究発表題目・質疑応答・討論の概念)
- V 心理学と女性研究者をめぐる諸問題(シンポジウム5,準備委員会企画シンポジウム)
- P2008 時間・距離・速度概念の発達的研究VI : 時間判断は距離判断より難しいか
- 発達2151 時間・距離・速度概念の発達的研究 V : 時間・距離判断における誤答の内容分析
- PE002 時間・距離・速度概念の発達的研究 IV : 速さ判断における時間的属性と距離的属性
- 小学校5年算数「速さ」教材の開発(VI) : 新教材による2回目の実験授業(2)
- 小学校5年算数「速さ」教材の開発 (V) : 新教材による2回目の実験授業 (1)
- 平行走路上の2つの動体の走行時間,走行距離,速さの比較判断に関する発達的研究 (1)
- 発達 203 時間・距離・速度概念の発達的研究II : 時間と距離に関して対称な課題を用いて
- 小学校5年算数「速さ」教材の開発 (III) : 新教材による実験授業 (2)
- 小学校5年算数「速さ」教材の開発(II) : 新教材による実験授業(1)
- 時間,空間,速度の概念の発達 (IV) : 実験の方法
- 2 発達 : 幼児1(日本教育心理学会第11回総会部門別研究発表題目・討論の概要)
- 2つの動体刺激の走行時間の比較判断とプランニング
- 小学5、6年生における時間、距離、速さの概念の理解
- PF76 学生による授業評価と授業に対する意欲・態度, 自己評価, 成績との関係 : 教職必修科目において
- PE70 学校の授業が小学校5年生の時間の比較判断に与える影響 : 文章題の場合
- PB03 小学5, 6年生における時間, 距離, 速さの関係の理解(1)
- PB02 幼児における長さ・数・混み具合概念(2) : 同一性認識課題と関係概念課題の関係
- PB01 幼児における長さ・数・混み具合概念(1) : 同一性認識課題と関係概念課題の基礎的データー
- PG62 小学校5年生が時間の比較判断に用いる知識 : 授業前における運動課題と文章題の関係
- PF19 速さの比較判断の発達
- 小学生における速さの比較判断
- 資料 二つの動体の走行時間の比較判断に用いる知識
- PB13 時間, 距離, 速度の発達的研究X : 出発・到着点判断と時間・距離判断
- PA18 中学生と大学生が時間の比較判断に用いる知識 : 用いた知識に基づく参加者タイプの分類
- 中学生が2つの動体の時間の比較判断に用いる知識
- 学生による授業評価と自己評価、授業選択態度、及び成績の関係--教職必修科目「生徒指導論」の場合
- 発達 H-4 中学生における2つの動体刺激の時間の比較判断 : 論理的比較に用いる2つの知識
- 発達 H-3 時間, 距離, 速度の発達的研究IX : 出発・到着地点判断と距離判断
- 31-1C3 高校生における2つの動体の時間と距離の比較判断(II) : 理科で学んだ速さの知識の時間判断への影響
- 時間, 距離, 速さの関係概念の形成が小学校5年算数「速さ」の理解に及ぼす影響
- 学生による授業評価と自己評価、当該授業に対する意欲・期待、及び成績の関係 : 教職必修科目「生徒指導論」の場合
- 児童の算数学習への意欲と関連要因
- PB012 時間比較と作動記憶容量の関係
- 時間の比較判断に及ぼす解決方略の学習効果及び記憶容量の影響
- PB2-27 時間の比較判断に及ぼすプランニングの学習の効果(教授・学習)
- 時間の比較判断における余分な情報の効果 : 小学5年生の文章題の場合
- 大学生による中学生へのピア・サポート・プログラムの効果(2)
- PG014 高校生が二つの動体の走行時間の比較判断に用いる解決方略
- PD093 中学1年生へのピア・サポート・プログラムの効果(1) : 質問紙調査の観点から
- 小学5年生における動体の時間と距離の認知と学習(III)
- 高校生における2つの動体の時間と距離の比較判断
- 講習会1教育現場における心理学的研究の方法 : 基礎(準備委員会企画講習会)
- 講習会1 教育現場における心理学的研究の方法:基礎
- これから育つ投稿者へ : 投稿者,審査者,指導教官の立場から
- 発達23(367〜374)(部門別研究発表題目・質疑応答・討論の概要)
- 動体刺激における, 時間, 空間および速度評価の発達的研究
- 4 速度評価の発達的研究(2.発達(幼児))
- 高校生における2つの動体の時間と距離の比較判断(I) : 時間の判断の場合
- 226 時間・距離・速度概念の発達的研究III : 時間判断に及ぼす到着点の目立ち効果(発達A(6),口頭発表)
- 205 時間・距離・速度概念の発達的研究 : 2つの動体の平行運動事態を用いて(概念形成,発達1,口頭発表)
- 小学校5年算数「速さ」教材の開発 (IV) : 新教材構成の再検討
- 障害 4-PE11 発達遅滞児における自己教示訓練の効果
- 心理的時間--心理的空間と比べると
- 2つの動体の走行時間, 走行距離, 速さの小学生による比較判断 : 走行時間の判断
- 時間、距離、速度の発達的研究VIII : 出発・到着時点判断と時間判断
- 認知発達研究から算数教育への示唆
- 児童における運動刺激の時間と距離の認知 : 小学校5年算数「速さ」はなぜ難しいか
- 発達 15-PA4 時間, 距離, 速度概念の発達的研究VII : 小学5年算数「速さ」はなぜ難しいか
- 子どもにおける2つの時間の論理的比較判断の難しさ
- 知的障害児における筆記学習の自己教示効果
- PE82 暴力に対する意識・被害経験と加害行動との関係 : 一般の中学生を対象に
- 中学生の暴力に対する欲求・規範意識,加害・被害経験,および学校適応感
- 距離判断に及ぼす時間間隔の効果に関する発達的研究
- 時間経過に配分する注意の程度と経過時間中の刺激が時間評価に与える影響
- 時間管理能力と自己効力感,メタ認知能力,時間不安との関係
- "待つ""待たされる"の心理;病院の待ち時間に関する心理学的考察 (特集 待ち時間解消はどこまでできるか)
- 平行走路上の2つの動体の走行時間,走行距離,速さの比較判断に関する発達的研究(III) : 誤答の内容分析
- 平行走路上の2つの動体の走行時間,走行距離,速さの比較判断に関する発達的研究(II) : 速さの判断の場合
- ブレインストーミングを用いた中学生の創造性開発
- 教師の指導発言に対する児童の受け取り方とその変化 : 教師と児童の人間関係を通して
- A Tentative Model of Time Estimation