中学生における2つの動体の時間と距離の比較判断
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概要
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2つの動体が同方向に, それぞれある時間, ある距離(従って, ある速さで)運動するときの, 走行時間や走行距離の比較判断は, 子どもにおいて前者が後者より難しいという結果が従来得られており, 空間概念の発達が時間概念の発達に先行すると言われている。しかし, 従来の諸研究では, 時間判断課題と距離判断課題の等価性(ここでは課題の対称性と呼ぶ)についてほとんど考慮されていない。本研究では, 第2著者の幼児と小学生を用いた先行研究と同様に, 形式的に対称な時間判断課題と距離判断課題をCRTディスプレイ上に提示する。前回は, 自動車が現れると同時に走り止まると同時に消える画面を作り, 出発・到着地点の目立ちの効果を明らかにしたが, 今回は走路など, 空間的手がかりをできるだけ少なくし, 時間判断課題と距離判断課題の対称性をさらに高めた課題を用意して, これまでほとんど研究されていない中学生を対象に実験を行った。その結果, 実験事態の中に空間的手がかりがほとんどないとき, 時間判断と距離判断は同程度に難しかった。したがって従来の距離判断が時間判断よりも易しいという結果は, 概念発達の差というよりも, 一般に実験事態の中に空問的手がかりが多く, かつ目立っていたことが原因と思われる。また中学生でも正答率が7割前後の課題がいくつかあり, まだほぼ完全な正答を行う大学生のレベルには達していなかった。
- 1997-10-30
著者
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