幼少児膀胱尿管逆流症例における腎機能評価

概要

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初診時2歳以下のprimary VUR 61例99尿管を対象に, 初診時のVUR grade, 逆流腎機能, さらには逆流防止術前後の腎機能の推移について検討した. Grade IV, Vの高grade VURが45%と高率であった. 尿中β_2-MG, α_1-MG, NAGは, それぞれ76%, 51%, 92%で高値をとり, 初診時にすでにほとんどの例で尿細管障害が生じていることが判明した. 初診時にすでにDMSA腎シンチグラム上scarが48%にみられた. DMSA腎摂取率で18%以下の腎機能障害例は全体で28%, grade II, IIIでも10∼20%にみられ, gradeだけで腎機能障害を判断できないと考えられた. 尿β_2-MG 0.33∼1. omg/gCrの例には, 軽度の尿細管障害があるものの両側腎機能が良好な群と, 腎障害が高度ですでに固定化している群の2つのタイプがみられ, 逆流防止術後に著明な腎機能の変化あるいは改善はみられなかった. 尿中β_2-MGが1. Omg/gCr以上の例は尿細管障害が現在activeな状態にあるものと考えられ, 1例を除き全例逆流防止術後にDMSA腎摂取率の著明な改善をみた. 以上より, 幼少児VURでは尿路感染の予防とともに腎機能を詳細に把握し, ネフロン障害が固定化する前に適切な治療を行う必要があると考えられた.
社団法人日本泌尿器科学会の論文
1990-04-20