小児膀胱尿管逆流症に伴う腎瘢痕 : DMSA腎シンチグラムによる検討

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<99m>^Tc-DMSA腎シンチグラフィーを用いて小児primary VUR 172例271腎における腎瘢痕(scar)について検討した.初回のDMSA腎シンチグラムで腎scarを認めたのは271腎中158腎58%であった.IVPとDMSA腎シンチグラムの各所見を比較すると,両者が一致したのは52%にすぎず,IVPで正常所見を示した例の41%にDMSA腎シンチグラムでscarが認められた.また,IVPで腎杯のclubbingのみを認めた例の28%,部分的な腎皮質の非薄化を認めた例の60%は,DMSA腎シンチグラムでみると腎全体に及ぶ高度のscarを伴っていた.各症例を年齢により3歳以下,4歳以上の2群にわけた場合,scarの発生率はそれぞれ59%,58%で年齢による差は認められなかった.VURのgradeとの関係でみると,3歳以下の例ではgradeIV・Vの38%に高度のscarが認められたが,gradeII,IIIでは高度のscarを伴う例は10%に満たなかった.これに対し,4歳以上の例ではgradeIV・Vの57%,gradeII,IIIの各20%,28%に高度のscarが認められた.以上の結果より,逆流腎に伴う腎実質障害はDMSA腎シンチグラムでみるとIVPでの所見に比べより広範囲に及んでいるものが多かった.また,幼少児では高grade VUR例でも約6割が比較的腎機能が良好に保たれているのに対して,年長児では低grade VURでも20〜30%の例に高度の腎障害を伴っていることが判明した.尚,経過観察中にscarの新生または既存scarの進展を認めたのは7例8腎(6%),既存scarの改善を認めたのは6例6腎であった.
社団法人日本泌尿器科学会の論文
1989-06-20

小児膀胱尿管逆流症に伴う腎瘢痕 : DMSA腎シンチグラムによる検討

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