小児水腎症の腎盂尿による腎機能評価及び腎機能回復能の検討

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手術時年齢2ヵ月から15歳までの小児一側水腎症29例(腎盂尿管移行部狭窄27例,巨大尿管2例)を対象に,腎盂尿でのβ_2-microglobulin(β_2-MG),α_1-microglobulin(α_1-MG),N-acetyl-β-D-glucosaminidase(NAG),albuminを測定し,尿路閉塞に伴う腎機能障害について評価した.さらに,術前後のdimercaptosuccinic acid(DMSA)腎摂取率の変化とこれらの指標との関係から,水腎機能回複の予測が可能かどうかについても検討した. 腎盂尿β_2-MG,α_1-MG,NAG,albuminは各々48%,50%,75%,83%が高値を示した.1歳以上では,術前DMSA腎摂取率低値の例がβ_2-MG,α_1-MG,NAGで高値を示す傾向にあった.albuminは術前摂取率が良好な例でも,78%が高値を示した. 術前後のDMSA腎摂取率の変化と各指標との関係をみると,術後有意な摂取率の増加を認めた例の73%がβ_2-MG,62%がα_1-MGで高値を示した.一方,術前後で摂取率に顕著な変化のなかった例では,高値をとったのはそれぞれ25%,36%にすぎなかった.これに対し,NAGやalbuminは,術前後のDMSA腎摂取率の変化と特に関係なく全体に高値をとる傾向にあった. 以上から,水腎症では尿細管障害に先行して糸球体障害が生じている可能性が考えられた.また,術前のβ_2-MGやα_1-MGにより水腎機能の回復がある程度予測できることが示唆された.
社団法人日本泌尿器科学会の論文
1992-11-20

小児水腎症の腎盂尿による腎機能評価及び腎機能回復能の検討

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