膀胱全層生検による浸潤性膀胱癌に対するNeoadjuYant療法の評価

概要

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浸潤性膀胱癌11例に対するNeoadjuvant療法前中後に,膀胱の全層生検を行い組織学的に評価した。Neoadjuvant療法としてCDDPとADMの骨盤動脈内注入と,一部の症例には放射線照射を併用した。全例が治療前の全層生検でpT3〜4_<biopsy>であった。Neoadjuvant療法後の全層生検による深達度診断で,治療前pT3b_<biopsy>であった4例が治療後pT0_<biopsy>となり,1例が画像上もCR,3例がPRを得た。画像上PRとたったpT3bの他の1例は,Neoadjuvant療法後の全層生検ではpT3bと不変であったが癌細胞数は減少していた。Neoadjuant療法後膀胱全摘ないし部分切除を9例に行い,Neoadjuvant療法後の全層生検と摘出標本の組織学的深達度診断の一致率は100%であった。pT0_<biopsy>で画像上PRとなり,さらに4月後にCRとなった1例は,膀胱を温存して観察中である。全層生検法は,浸潤性膀胱癌に対するNeoadjuvant療法の正確な評価に極めて有用である。
社団法人日本泌尿器科学会の論文
1991-10-20