表在性膀胱癌における再発危険因子, 進展危険因子の検討

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表在性膀胱癌の膀胱内再発,進展および上部尿路再発に関与する臨床的,病理学的因子を明らかにする為に,1961年から1990年までの30年間に初回から治療を行った表在性膀胱癌244例について統計学的検討を行った.性別,年齢,受診までの期間,血尿の有無,膀胱刺激症状,腫瘍形態(乳頭状・非乳頭状),腫瘍茎形状(有茎性・広基性),腫瘍最大径,腫瘍数,異型度,深達度,初回治療(手術療法),注入療法,経口薬剤の14の因子をとりあげ検討した.累積再発率は1年13%,2年20%,3年23%,5年28%であった.14因子中,再発に関し有意の差を認めたのは,腫瘍茎形状,腫瘍数,異型度の3因子であった.これらの再発予後因子の重みの順位づけを行う為,比例ハザードモデルによる多変量解析を行った.逐次漸減法により寄与度の大きい因子を選択していくと,1)腫瘍数,2)異型度の順となった.浸潤腫瘍への進行,及び転移を来した進展症例を7例(3%)に認めた.初回治療時に進展を予見し得る特徴的所見として,多発,pT1,G3があげられた.これらすべての条件をみたす症例の進展率は60%であった.上部尿路に腎孟尿管癌として再発した症例は5例(2%)であったが,これについては危険因子を認めなかった.以上より膀胱内再発に関しては,1)多発,2)G3が,進展については多発,G3,pT1が危険因子としてあげられた.上部尿路再発に関しては,危険因子を特定出来なかった.
社団法人日本泌尿器科学会の論文
1993-06-20

表在性膀胱癌における再発危険因子, 進展危険因子の検討

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