肥満と前立腺肥大症,血中estrogen濃度,および脂肪組織のestrogen合成能との関係

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近年,前立腺肥大症(BPH)の発生,発育にはestrogenが何らかの役割を果たしていると考えられている.今回は,このestrogenの合成,貯蔵の働きを持つ脂肪組織に注目し,肥満とBPH,血中estrogen,および脂肪間質細胞のestrogen合成能(aromatase活性)との関係について検討を加えた.BPH患者172名,及び健常者194名の身長,体重より肥満とやせの判定を行い,BPHと肥満との関係について検討したところ,BPHの肥大腺腫の大きさが大きいほど肥満者の割合は増加し,やせの割合は減少した.また,健常男子116名の血中estradiolを測定し,肥満度と血中estradiol(E_2)値との関係を検討したところ,両者の間には有意な正の相関が認められ(p<0.01),肥満度の増加にともない血中E_2値は上昇した.また,手術時採取した腹壁脂肪組織より得た14名の脂肪間質細胞のaromatase活性と肥満度との関係を検討したが,脂肪間質細胞のaromatase活性と肥満度との相関は認められなかった.今回の検討では,BPHの肥大腺腫の大きい群ほど肥満者の割合が増加し,肥満により血中estrogen濃度は上昇するという結果を得た.近年,BPHの発生,発育にestrogenが関係しているという報告が多くなされており,肥満が前立腺肥大腺腫の発育のrisk factorとなり得る可能性がある事が示唆されると考えられた.
1988-02-20

肥満と前立腺肥大症,血中estrogen濃度,および脂肪組織のestrogen合成能との関係

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