音源分離システムにおける時間的統合 : Old-Plus-New Heuristic の導入

概要

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人間は、複数の音源からの音が同時に存在した場合にも、ある音だけを選択的に聴くことができる場合が多い。音源分離システムは、このような機能を工学的に実現することを目標としたものである。これまでに、われわれは、複数種類の楽器音の混在したモノラルの音響信号を入力とし、音色モデルの事前登録なしに含まれる楽器音を分離し、楽譜に類似した形式およびMIDIデータの形で楽器ごとの演奏情報を出力するシステムの構成を提案し、実験システムを実装して評価実験を進めてきた。このシステムにおける問題点のひとつは、異種の楽器音に含まれる周波数成分どうしが高調波関係にあり、かつほぼ同時に立ち上がっている場合に、これらを分離することができないことであった。このような問題点は、システムが、スペクトルの瞬時的な情報のみに基づいて処理を行っていることに由来すると考えられる。そこで本稿では、スペクトルの継時的な橋報を音源分離処理に溝入する一方法を提案する。音源分離システムにおいて、スペクトルの継時的な情報の利用に関しては、情報の時間的なつながりから音源分離を行うという側面と、音源分離の結果から情報の時間的なつながり(例えばオーディトリー・ストリーム)を形成していくという側面の、2つの相補的な処理が考えられる。これらをまとめて、スペクトルの「時間的銃合」と呼ぶことにするが、本稿ではこのうち前者に関する検討の第1歩として、いわゆる"Old-PLUS-New Heuristic"の導入を考える。
一般社団法人情報処理学会の論文
1992-09-28

音源分離システムにおける時間的統合 : Old-Plus-New Heuristic の導入

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