浅間山麓の冷温帯落葉樹林におけるハルニレの更新に果たす地表攪乱の役割
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概要
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浅間山麓の谷壁斜面に成立した落葉広葉樹林において, ハルニレの更新に果たす地表攪乱の役割について考察した。地形測量により, 調査地には遷急線を境に二つの斜面単位が認められ, 遷急線上方の上部斜面は, 地表攪乱がなく地表は安定しているが, 下部斜面は斜面崩壊による複数の地表攪乱がみられ, 不安定な地表状態にあることがわかった。ハルニレの立木分布は下部斜面に偏り, 上部斜面にはほとんど分布していなかった。また, ハルニレ実生と若木の分布様式から, ハルニレは斜面崩壊により形成された堆積面で更新していることがわかった。樹齢-樹高関係からハルニレの若木はそれほど耐陰性がないことがわかったが, ひとたび林冠に到達すると200年以上も占有する。以上のことから, ハルニレはマスムーブメント, 洪水, 地滑り, 斜面崩壊, 火山灰の降下など林冠層の攪乱を伴う周期的な大規模な地表攪乱により, 更新木の成立適地が形成されるときに更新していると考えられた。
- 日本森林学会の論文
- 1999-02-16
著者
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