Alternaria alternata 群病原菌における宿主特異的毒素生成の制御 (4) AK毒素生成菌にのみ発現される遺伝子のクローニング
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概要
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宿主特異的毒素 (以下 HST) 依存の病原性を示す A. alternata 群病原菌では, 完全世代が発見されておらず, 病原性を支配する HST 生成の遺伝解析はなされていない。そこで, ナシ黒斑病菌 (AK毒素生成菌) No. 15A 菌株とその毒素生成能失活株 No.15B 菌株を用い, 遺伝子レベルでの比較検討を行なった。両株菌体より DNA および RNA を調製し, それらの相同性を利用したコンペティティブハイブリダイゼーションを行なった結果, 15A 菌株のみに特定の RNA が多量に存在することが明らかとなった。なお, この RNA は, 15B 菌株の DNA に対しても相補性を持つ mRNA であることを確認した。そこで, 15A 菌株の cDNA クローニングを試みた。その全 RNA からポリ (A)^+RNA を調製し, cDNA を作成した。これを pBR322 の PstI 部位に挿入して, 大腸菌 RR 1 菌株を形質転換した。得られた586の形質転換体から, 15A 菌株および 15B 菌株の RNA によるコンペティティブコロニーハイブリダイゼーションにより, 8個のポジティブクローンを選抜した。各種 A. alternata 菌株を用いて, プラスミドに組み込まれた cDNA と相補性を持つ mRNA 量を, そのうち4クローンについて検定した。その結果, AK毒素生成菌株, その他の HST 生成菌株および腐生的菌株に比べ, AK毒素生成能失活菌株においてのみ, 著しく転写量の少ない mRNA が見いだされた。
- 1986-10-25
著者
-
小林 裕和
Graduate School Of Nutritional And Environmental Science University Of Shizuoka
-
小林 裕和
名古屋大学アイソトープ総合センター
-
西村 正暘
名古屋大学農学部
-
柘植 尚志
名古屋大学大学院生命農学研究科
-
柘植 尚志
名古屋大学大学院・生命農学研究科
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