ナシ黒斑病菌から検出されたプラスミドpAAT56の細胞内局在性と遺伝子発現
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概要
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ナシ黒斑病菌T88-56菌株から検出された環状DNAプラスミドpAAT56 (5354bp) は, 2つの大きな推定読み枠ORFI(1290bp)とORF2(1653bp)をコードしている。先に, pAAT56が宿主菌の病原性や栄養生長を抑制することが示唆された。本研究では, pAAT56の機能をさらに解析するために, 本プラスミドの細胞内局在性と遺伝子発現について調査した。T88-56株から核とミトコンドリア画分を調製し, それぞれのDNAを抽出した。全DNA, 核DNAおよびミトコンドリアDNAのサザンブロット解析の結果, 全DNAと核DNAからのみpAAT56が検出され, 本プラスミドが核に局在することが示唆された。pAAT56をプローブとしたノーザンプロット解析によって, 約1.7, 2.7および5.4kbの転写RNAが検出された。さらに, ORF1とORF2領域のセンスおよびアンチセンスRNAプローブを用いて, これら3種のRNAが両ORFのセンス鎖であることが明らかとなり, 両ORFがタンパク質に翻訳される可能性が示された。そこで, 大腸菌発現ベクターを用いて調製したORF1融合タンパク質に対するマウスポリクローナル抗体を調製し, ウエスタンプロット解析によりT88-56株とT88-56株由来のプラスミド欠損株からORFl産物の検出を試みた。その結果, T88-56株からのみ抗ORF1タンパク質抗体と反応する6種のタンパク質(約38, 49, 52, 62, 70および73kDa)が検出された。ORF1産物の分子量は約49kDaであり, pAAT56保有株では複数のORF1関連タンパク質が翻訳後の修飾を伴って生産されることが示唆された。
- 1999-02-25
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