罹病茎内におけるアズキ萎凋病菌の長期生存

概要

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アズキ萎凋病菌(Fusarium oxysporum f. sp. adzukicola)の生存能力について検討した。アズキ萎凋病に罹病したアズキ(品種「エリモショウズ」)の茎を本病が発生していない自然土壌の地表, ならびに地下10 cm, 20 cmおよび30 cmの位置に設置し, これらの一部を所定の時期に取り出してF. oxysporumを分離した。さらにF. oxysporumの分離株の病原性検定を行い, アズキ萎凋病菌の生存菌密度を推定した。その結果, 罹病残渣の埋没位置にかかわらず, アズキ萎凋病菌密度は測定期間中4.2×10^4〜3.5×10^5/g乾燥残渣を示し, その変動幅は小さかった。また, 土壌中に混入した罹病残渣中の厚膜胞子は, 4℃, 25℃において34週以上生存したが, 厚膜胞子のみを土壌中に混入した状態では, 4℃で16週以上ほぼ一定の菌密度で生存したのに対し, 25℃において菌密度が急激に増加後, 減少し, 12週以後は検出できなかった。以上の結果より, アズキ萎凋病菌は自然条件下の罹病残渣中で5年以上の長期間, 安定して生存すると考えられた。
1997-08-25