ウイロイドの遺伝子診断法 : ホップ矮化, カンキツエクソコーティス, リンゴさび果ウイロイドの実用的診断のためのリターン-PAGE 及び DIG 標識 DNA・RNA プローブを用いたハイブリダイゼーションの比較
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
圃場等で採集した多数の試料のウイロイド診断を行うため, リターン-PAGEと DIG 標識 DNA, RNAプローブによるハイブリダイゼーションについて, それぞれの検出感度とその実用性を比較検討した。検定材料として日本あるいは中国で発生しているホップ矮化ウイロイド(HSVd)に感染したホップ, ブドウ, カンキツ, カンキツエクソコーティスウイロイド(CEVd)に感染したカンキツ(エトログシトロン)及びリンゴさび果ウイロイド(ASSVd)に感染したリンゴとナシを供した。リターン-PAGEは HSVd 感染ホップ, CEVd 感染シトロン及び ASSVd 感染リンゴからウイロイドを検出するのに有効であり, 0.5〜0.05gの組織に相当する核酸試料を1レーンに泳動することで確実に検出できた。しかし, HSVd 感染ブドウ, シトロン及び ASSVd 感染ナシではウイロイド濃度が低いので検出できなかった。またリターン-PAGEの欠点は, ホップ試料に見られたように複数のウイロイド(HSVdとHLVd)が感染している作物では, バンドの有無のみではウイロイドの同定までできない点にあった。DIG 標識 DNAプローブはリターン-PAGEに比べ2.5〜25倍検出感度が高かったが実用性は同程度であった。DIG 標識 RNAプローブを用いたハイブリダイゼーションは, DIG 標識DNAプローブの25〜125倍, リターン-PAGEの100〜625倍以上鋭敏であり, HSVd 感染ホップ, CEVd 感染シトロン及び ASSVd 感染リンゴの他, HSVd 感染ブドウの検出も可能であり, それぞれ2〜0.4mg 程度の感染葉から確実に検出可能であった。しかし, HSVd 感染シトロン及び ASSVd 感染ナシからウイロイドを検出することはできず, 陰性の試料はキュウリ検定や RT-PCR 等のより鋭敏な手法で再検査した方が確実な診断結果が得られると考えられた。以上の結果, DIG 標識 RNA プローブを用いたハイブリダイゼーションによる診断が最も鋭敏であり, 信頼性, 実用性も高く, 特に HSVd 感染ホップ, CEVd 感染シトロン, ASSVd 感染リンゴ及び HSVd 感染ブドウの圃場診断等に有効と考えられた。
- 日本植物病理学会の論文
- 1995-08-25
著者
-
佐野 輝男
弘前大学農学生命科学部
-
四方 英四郎
北海道グリーンバイオ
-
李 世訪
中国農科院植物保護
-
吉田 幸二
果樹試験場盛岡支場
-
四方 英四郎
北海道大学農学部
-
四方 英四郎
北海道大学農学部植物病理学教室)
-
李 世訪
弘前大学農学部
-
小野寺 清子
弘前大学農学部
-
王 国平
中国農業科学院遼寧省興城果樹研究所
-
小野寺 清子
弘前大学農学部:(現)みよし(株)研究開発センター
関連論文
- オオムギ黄萎ウィルスの精製と血清反応
- イネ萎縮ウイルスの超微構造について
- (239)ホップ矮化ウイロイドの構造と病原性;ホップ,ブドウ,スモモおよびカンキツ変異株ホップでの病原性比較試験結果(2)(平成14年度 日本植物病理学会大会講演要旨)
- リンゴゆず果病罹病樹に特異的なウイロイドの検出
- (283) ビオチン標識合成オリゴヌクレオチドの混合プローブによるpotato spindle tuber viroid (PSTVd)の検出 (日本植物病理大会)
- (289) ジャガイモYウイルス塊茎えそ系統の分子分類学的解析(1) 5'非翻訳領域, P1遺伝子, 外被タンパク質遺伝子および3'非翻訳領域
- (296)塊茎えそ症のジャガイモから分離されたジャガイモYウイルス外被タンパク質遺伝子の塩基配列(平成9年度日本植物病理学会大会講演要旨)
- ジャガイモ Y ウイルス外被タンパク質に対するモノクローナル抗体の重鎖および軽鎖遺伝子のクローニングと塩基配列
- (367) ジャガイモ Y ウイルス外被タンパク質に対するモノクローナル抗体遺伝子のクローニングと全塩基配列 (日本植物病理学会大会)
- 免疫学的方法によるイネ萎縮病ウイルス罹病イネ中のウイルスRNAの検出
- (322) キク矮化ウイロイドの遺伝子診断 (日本植物病理学会大会)
- (10) 日本産のキクから分離したキク矮化ウイロイドのクローニングと塩基配列 (北海道部会)
- 逆転写-polymerase chain reaction(RT-PCR)を用いたホップ潜在ウイロイド(lJLVd)の検出
- (156) 植物ウイルス媒介昆虫の組織培養に関する研究 II (昭和45年度日本植物病理学会大会講演要旨)
- ヒメトビウンカ, Laodelphax striatellus FALLEN胚子の組織培養
- (4) 植物ウイルス媒介昆虫の組織培養に関する研究 I (北海道部会講演要旨)
- イナズマヨコバイ胚子の組織培養
- (105) イネ黒条萎縮病ウイルスの電子顕微鏡的研究 (ウイルス病(昭和42年度日本植物病理学会大会講演要旨))
- 凍結又は凍結乾燥による Tobacco Mosaic Virus の粒子の長さ及び感染力の変化について
- Tobacco Mosaic Virus の凍結乾燥による断裂について
- (294) イネグラッシィスタントウイルスRNAに対するランダムcDNAライブラリーの作製と塩基配列の決定
- (22) PCR-マイクロプレート・ハイブリダイゼーション法によるジャガイモ塊茎からのジャガイモYウイルスの検出 (北海道部会)
- PCR-マイクロプレ-トハイブリダイゼ-ション法によるカンキツエキソコ-ティスウイロイドの検出
- (20) PCR-マイクロプレートハイブリダイゼーションによるカンキツエキソコーティスウイロイドの検出 (関東部会)
- (19) PCR-マイクロプレート・ハイブリダイゼーション法によるモモアカアブラムシからのジャガイモ葉巻ウイルスの検出 (平成10年度北海道部会)
- (1) PCR-マイクロプレート・ハイブリダイゼーション法によるジャガイモ休眠塊茎からの4種ウイルス検出に供する塊茎部位 (北海道部会)
- (313) イネ黒条萎縮ウイルスの媒介昆虫ヒメトビウンカの組織培養とその培養細胞へのウイルスの接種 (日本植物病理大会)
- (312) イネ黒条萎縮ウイルスゲノムセグメント7と9のORF1にコードされるタンパク質の細胞内における局在 (日本植物病理大会)
- ハイブリダイゼーションを用いたイネ黒条萎縮ウイルスゲノムと maize rough dwarf virus ゲノムの類縁関係
- (329) PVX5'非翻訳領域を付加したPLRV外被タンパク質遺伝子を導入した形質転換ジャガイモのウイルス抵抗性検定 (日本植物病理大会)
- (284) カンキツウイロイドグループIの検出と塩基配列 (日本植物病理大会)
- イネラギッドスクントウイルス(RRSV)ゲノムセグメント10のクローニングと全塩基配列
- 植物防疫基礎講座:植物ウイルスの分類学(13)ウイロイド(Viroid)
- ウイロイド研究の新展開
- 本邦に発生するウイロイドの研究(学会賞受賞者講演,平成20年度日本植物病理学会大会)
- ウイロイド自律複製するノンコーディングRNA
- 分裂酵母由来の2本鎖RNA分解酵素を利用したウイロイド抵抗性作物 ウイロイドとその複製過程で生じる2本鎖RNAを標的とし増殖抑制効果を発揮
- ウイロイド(viroid)/hepatitis δとの関連 (植物ウイルス)
- ウイロイドの分子生物学
- 青森県で発生したメロンえそ斑点ウイルス(MNSV)の診断と遺伝子解析
- (335) ジャガイモ葉巻ウイルス複製酵素遺伝子 (ORF2b) を導入した形質転換ジャガイモの作出 (日本植物病理大会)
- (24) ジャガイモ葉巻ウイルス CP 遺伝子導入形質転換ジャガイモの当代感染におけるウイルス増殖抑制 (北海道部会)
- (12) ジャガイモ葉巻ウイルス ORF2b の cDNA クローニングとその塩基配列 (北海道部会)
- (7) ジャガイモ葉巻ウイルス外被タンパク質遺伝子を導入したトランスジェニックジャガイモのウイルス抵抗性検定 (北海道部会)
- (156) イネラギッドスタントウイルスゲノムセグメント9番cDNAを導入したトランスジェニックイネの解析 (日本植物病理大会)
- 本邦で分離したジャガイモ葉巻ウイルス外被タンパク質および17Kタンパク質遺伝子の塩基配列
- (198) ジャガイモ葉巻ウイルス外被タンパク質遺伝子を導入したトランスジェニックジャガイモの作出 (日本植物病理学会大会)
- (197) イネ萎縮ウイルス分節ゲノム8番および10番の cDNA を導入したトランスジェニックイネの作出 (日本植物病理学会大会)
- イネragged stuntウイルス : 植物レオウイルス群に属する新しいウイルスについて
- スプレーギクのウイロイドフリー苗生産に関する研究 : (第3報)ウイロイド濃度がスプレーギクの生育に及ぼす影響
- スプレーギクのウイロイドフリー苗生産に関する研究 : (第2報)キクわい化病無毒化の検討
- スプレーギクのウイロイドフリー苗生産に関する研究 : (第1報)各種ウイロイド検定法の検討
- ホップ矮化ウイロイドのキュウリ株 (cucumber pale fruit viroid) の感染性に及ぼす化学物質の影響
- (19)日本及び中国の栽培ブドウから検出されるホップ矮化ウイロイド,ブドウイ***ースペックルウイロイド1,オーストラリアブドウウイロイド(東北部会講演要旨)(平成15年度地域部会講演要旨)
- イネグラッシースタントウイルス・タンパク質間の相互作用
- 日本産セイヨウナシから分離されたナシblister cankerウイロイドについて
- 北海道におけるキク矮化病の発生と電気泳動法およびハイブリダイゼ-ション法によるキク矮化ウイロイドの検出
- ウイロイドの遺伝子診断法 : ホップ矮化, カンキツエクソコーティス, リンゴさび果ウイロイドの実用的診断のためのリターン-PAGE 及び DIG 標識 DNA・RNA プローブを用いたハイブリダイゼーションの比較
- (288) 日本産セイヨウナシから分離されたナシblister cankerウイロイド(PBCVd)の塩基配列 (日本植物病理大会)
- (31) セイヨウナシから分離されたナシblister canker ウイロイド(PBCVd)について (東北部会)
- (26) DIG 標識した cDNA 及び cRNA プローブによるウイロイドの検出 (東北部会)
- (9) ホップ潜在ウイロイドの検出とクローニング (北海道部会)
- (279) セイヨウナシから分離したウイロイドのクローニングと塩基配列 (平成2年度大会講演要旨)
- (306) 西洋ナシのウイロイドについて (平成元年度日本植物病理学大会講演要旨)
- (193)ホップ矮化ウイロイドの構造と病原性 : ホップ,ブドウ,スモモおよびカンキツ各変異株のホップでの病原性比較試験結果(1)(平成9年度日本植物病理学会大会講演要旨)
- (7) PCR-マイクロプレート・ハイブリダイゼーション法によるジャガイモ塊茎からの2種ウイルスの検出 (北海道部会)
- (5) ホップ潜在ウイルスゲノムの cDNA クローニングと遺伝子診断 (北海道部会)
- (292) イネ萎縮ウイルス(RDV)の全遺伝子構造解析の完成 : ゲノムセグメント2 (S2)の全塩基配列 (日本植物病理大会)
- (343) イネ萎縮ウイルス S1 の遺伝子構造解析 : 植物および動物レオウイルスのRNA依存 RNA 合成酵素間のアミノ酸配列相同性 (日本植物病理学会大会)
- A Note on Nutritional Disorders of the Rice Plant in Java, Indonesia
- (17) イネ萎縮ウイルス(RDV)感染葉からのウイルスゲノムの直接抽出と採集地別分離株の電気泳動による識別 (北海道部会)
- イネ葉鞘および Rice tarsonemid mites, Steneotarsonemus spinki Smiley (ダニ目, ホコリダニ科) から分離されたウイルス様小球形粒子について (昭和59年度 日本植物病理学会大会講演要旨)
- イネ Ragged Stunt ウイルスの宿主範囲
- イネ grassy stunt ウイルスに関する研究 (第1報)
- イネragged stuntウイルスの物理的諸性質
- Leaf-dip serologyとmulti-dish tray法によるジャガイモウイルスの診断
- 抗血清による植物ウイルスの診断 : Multi-dish tray法について
- イネくろすじ萎縮ウイルスの植物および虫体内増殖
- Echinochloa ragged stunt virus (ERSV) は rice ragged stunt virus (RRSV) と同じ属に分類される
- (253) イネラギッドスタントウイルスのゲノムセグメント10の全塩基配列と主要な読み取り枠の大腸菌における発現 (日本植物病理学会大会)
- (345) 一塩基置換によって起こるイネラギッドスタントウイルスゲノムセグメント 9 (S9)のヘテロゲネシスについて (日本植物病理学会大会)
- イネラギッドスタントウイルスとイネ黒条萎縮ウイルスに見出された RNA ポリメラーゼ活性について
- (250) 北海道におけるイネ黒条萎縮ウイルス(RBSDV)の発生 (日本植物病理大会)
- (344) イネ黒条萎縮ウイルスゲノムセグメント 7(S7)と maize rough dwarf virus ゲノムセグメント 6(S6)の塩基配列相同性 (日本植物病理学会大会)
- (244) 大腸菌発現系を用いたジャガイモYウイルスの系統特異的抗原決定基を構成するアミノ酸配列の解析 (日本植物病理学会大会)
- わが国のコリウス(Coleus blumei Benth.)から検出されたウイロイドの全塩基配列と宿主範囲
- (293) イネ萎縮ウイルス(RDV)ゲノムの電気泳動による分離株の識別とゲノムセグメント12 (S12)の塩基配列の比較 (日本植物病理大会)
- (5) ジャガイモ Y ウイルスの遺伝子診断・逆転写-PCR産物のマイクロプレートでのハイブリダイゼーション (北海道部会)
- ウイロイド研究の新展開
- (13) 日本のジャガイモ品種の potato spindle tuber viroid に対する反応と遺伝子診断 (北海道部会)
- 抗体遺伝子導入によるウイルス病抵抗性植物の創出
- (247) イネラギットスタントウイルス(RRSV)ゲノムセグメント9の変異株の伝搬様式 (日本植物病理大会)
- (321) マイクロプレート・ハイブリダイゼーションによる植物ウイルス・ウイロイド遺伝子診断法 (日本植物病理学会大会)
- (370) RT-PCR法による本邦産イチゴからの strawberry mild yel1ow edge-associated potexvirus 外被タンパク質遺伝子の検出 (日本植物病理学会大会)
- リンゴ葉圏に生息する非病原菌と病原菌の動態 : 慣行栽培園と有機栽培園の比較(有機農業を巡る土壌微生物・小動物,シンポジウム)
- (307) ヤマノイモえそモザイクウイルスの純化方法の改良について (日本植物病理学会大会)
- (150) ジャガイモYウイルスの外被蛋白質遺伝子発現形質転換タバコの作出 (日本植物病理大会)
- 村山大記先生 (1911〜1992)
- (18) PCR-SSCP法によるイネラギットスタントウイルス(RRSV)ゲノムセグメント9に起こった1塩基置換の検出 (北海道部会)
- (6) ジャガイモ Y ウイルス細胞質封入体遺伝子の塩基配列 (北海道部会)