統計的係り受け結果を用いた対訳表現抽出

概要

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近年, 対訳コーバスが普及し, 文レベルの対応や語レベルの対応をとる手法が活発に提案されてきた.一方, 中間に位置する局所的な文節係り受けレベルの対応についての研究は, あまり行われていない.機械翻訳では, 主語, 目的語に応じた動詞の訳し分けなど, 語の依存関係まで考慮して翻訳規則を記述する場合が多い.このため, 文節係り受けレベルでの対応を自動的に獲得する技術は, 重要な課題である.本稿では, 文対応された対訳コーバスから統計的係り受け解析結果を用いて文節間の依存構造が反映された対訳表現を抽出する手法を提案する.従来の研究では, 言語の品詞, 語順, 語源(cognate)を手かがりとして, 語や連語レベルの平面的な対訳表現を抽出にとどまることが多かった.しかし, 本稿で提案する手法は, 近年, 精度向上が目覚ましい統計的係り受け解析技術を利用することにより, 文節(部分依存木)レベルの構造的な対訳表現を抽出できる.また, 日英対応のように, 文の基本構造が異なる2言語間でも文節の依存関係は保たれるため, 文節の依存関係が, 対訳表現抽出において, 有用な手がかりであることを示す.
一般社団法人情報処理学会の論文
2001-09-15