履歴データ型を用いた版管理データモデルの提案

概要

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CADシステム,ソフトウェア開発等を支援するデータベースにおいては,各種設計データの版(バージョン)管理が必要である.版管理においては、版の導出関係管理と各版の生成時刻・削除時刻等の時間情報管理の両者が重要である.本論文では,抽象データ型である"履歴型"を導入することにより入れ子型リレーショナルモデルの枠組みの中で,版の導出関係と時間情報の管理を可能とするデータモデルTVDM(TemporalVersion Data Model)を提案する.履歴型は版の導出関係と時間情報を一体として集約化した対象であり,履歴型に付随したオペレータを用いることにより,版の導出関係と時間情報に関する検索条件を明示的に表現可能である.また,版管理上は必須であるが通常のリレーショナルモデルではサポートされない推移的閉包も取り扱うことが可能である.本論文では,TVDMの基本概念について述べた後,その代数操作系TV代数を示す.また,データベース言語TV-QUELを提案し,TV-QUELインタプリタのプロトタイプ実装について述べる.
一般社団法人情報処理学会の論文
1993-05-15