(7)岩手県に発生したピーマンうどんこ病菌について

概要

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ピーマンうどんこ病は岩手県内のハウス栽培で広く発生がみられている.病原菌はOidiopsis sircula Scali(病名目録)とされるが,本邦では高知県と宮崎県(斉藤・平田,1967),三重県と関東で発生が記録されている(和田・平田,1977).本県での初確認は1992年であるが未同定であった(仲谷,1992).本病は7月から9月にかけて発生し,主に下葉の葉裏面に白色粉状の菌叢を形成,菌糸は葉の表面あるいは葉肉内部の細胞間隙に生育する.分生子はフィブロシン体を欠き,無色単胞で披針形〜長楕円形,大きさは61.3〜72.5×15.0〜18.8μmのものを分生子柄上に単生.分生子柄は3〜5細胞で菌糸上に直立し,長さ243〜323×19μm,Foot-cellの大きさは123〜229×5〜7.5μm.分生子の発芽管はこぶし状の付着器を形成.以上の形態的特徴から,病原菌はOidiopsis属菌であり,既報のO.sirculae (Leveillula taurica (Lev.) Arnaudの不完全世代)と同一と考えられた.本菌は熱帯性の菌とされるが,岩手県における発生は本菌の発生拡大を示唆しており,本菌の発生経過と今後の動向に注意したい.
2003-02-25