660. 下部白亜系下部石徹白層群尾口層の Dictyozamites およびその他のソテツ葉類
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概要
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石川県石川郡白峰村および尾口村に分布する下部白亜系下部の石徹白層群尾口層(河合正虎, 1961)から得られた植物化石のうち, ベネチテス目のDictyozamites 6種(うち4種は新種), 新種1種を含むOtozamites 2種, ソテツ目のCtenis 3種(うち1種は新種), Nilssonia 1種, および種子シダ目のCtenozamites sp.を記載した。以上のうち, Nilssonia lobatidentataは裂片に顕著な櫛歯状の鋸歯のある種で, このような鋸歯のあるNilssonia葉は, シベリア植物地理区植物群に普遍的である。また, Ctenis burejensisは, 同植物地理区の初期白亜紀植物群に普遍的な種で, これらはさきに記載報告したNeozamitesや今後記載するシダ目および球果目に属する種の一部とともに, 尾口植物群と同時代のシベリア植物地理区植物群との間の共通要素である。尾口植物群はまた, 質量ともに豊富なDictyozamitesによって特長づけられる。今般6種を記載するとともに, 従来, 世界各地から記載された種との比較を試みた。尾口植物群のソテツ葉類(cycadophytes)の組成は, ほぼ同時代と考えられるWealden型の領石植物群のそれとは明らかに異なり, 両者の間には共通種は認められない。これに似た関係はシダ目や球果目の組成についても認められる。したがって, 以前から木村が繰り返し述べてきたように, 尾口植物群は距離的に近い日本外帯の領石植物群や, 同じくWealden型の南沿海州の初期白亜紀植物群よりは, 距離的に遠い, アムール河, レナ河, コリマ河流域に知られているシベリア植物地理区初期白亜紀植物群に近縁である。
- 日本古生物学会の論文
- 1976-04-30
著者
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