663. ネオコミアン上部赤岩層 (石徹白層群上部) の植物化石
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概要
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赤岩層の植物化石は一般に保存が悪く, 従来は木村(1975)の研究を除いてはその古植物学的研究は行なわれていない。今般, 石川県石川郡白峰村別当崩れ(白山中腹)および大杉谷苛原からやや保存のよい標本が多量に得られたのでここに報告する。赤岩層の植物化石は下位の尾口層の植物群と組成が異なるので, 以下赤岩植物群とよび, さきに木村によって記載された福井県大野郡和泉村半原地域の田茂谷(多母谷)層群中部層の植物化石を含める。赤岩植物群は内帯植物地理区(木村, 1961; 1975)の植物群で, たかわらび科, うらじろ科および所属不明のシダ, ソテツ葉類, イチョウ類およびその類縁のもの, および球果類(広葉のものが優勢)からなる植物群である。赤岩植物群は, たかわらび科をはじめ, シダ類が劣勢であること, ソテツ葉類が劣勢かつ小型化すること, また葉縁が鋸歯状を呈するものが優勢になること, および, Ginkgoidiumを除き, イチョウ類の葉が小型化することなどの諸点で尾口植物群と異なる。また上位の田茂谷植物群とも組成が異なる。赤岩植物群を構成する属種の大部分, すなわち, Coniopteris, Birisia, Asplenium, Raphaelia, Adiantites, Dictyozamites cfr. cordatus, Nilssonia lobatidentata, Ginkgoites, Leptostrobus, Pseudotorellia, Podozamitesなどは, 同時代のシベリア植物地理区植物群と共通もしくはきわめて近縁のものであり, 同時代の下部物部川層植物群(木村・平田, 1975)とはいちじるしく異なる。以上は, 木村のいう日本の内帯植物地理区の古環境がシベリア植物地理区のそれに近縁であり, 日本の外帯植物地理区のそれとは異なったものであることを裏付けている。赤岩層からは, 多量の材化石を入手しているが, これらについては別に記載報告する。
- 1976-10-15
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