646. 福井県九頭竜上流域に発見された前期白亜紀中〜後期植物群
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概要
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私と林良和は, 福井県大野郡和泉村九頭竜川の支谷, 田茂谷および林谷上流に露出する赤岩層群相当層およびその上位の凝灰岩をはさむ地層から保存不良の植物化石を採集した。また最近, 関戸信次, 山崎慶寿らとともに白山中腹部および大杉谷の赤岩層群から多量の植物化石を発見, 採集した。これら植物化石の研究ならびに従来の"手取植物群"に関する知見を総合すると, "手取植物群"は層位的に, ジュラ紀後期の九頭竜植物群, Neocomian初期および後期と考えられる尾口植物群(石徹白層群桑島砂岩頁岩互層の植物群)および赤岩植物群, およびAptianと考えられる田茂谷植物群に区分される。これらの植物群は内帯(飛騨)植物区(木村, 1961, 1963)の構成員であることはもちろんであるが, それぞれについてかなりの組成上の特長が認められ, またそれぞれ, ほぼ同時期の外帯植物区の植物群とは組成が異なる。外帯植物区の前期白亜紀植物群はWealden型で, その代表者は"領石植物群"であり, 沿海州の前期白亜紀植物群とともに, VAKHRAMEEVのいうインド, ヨーロッパ植物区に属し, 概して乾燥卓越条件下の植物群である。また尾口植物群を代表者とする内帯植物区の植物群は, 同時期のシベリア植物区の植物群にそれぞれ近縁であり, 概して温暖, 適湿条件下の植物群と考えられる。したがって内帯植物区は, インド, ヨーロッパ植物区域中に孤立しているようにみえる。田茂谷植物群は, 赤岩層群に整合に重なる北谷層相当層に産し, 北極圏の前期白亜紀植物群の諸要素, たとえば, Arctopteris, Jacutopterisなどを含む。本稿では, 赤岩植物群の一部および田茂谷植物群について識別し得た属種について記載するとともに, 前期白亜紀の外帯および内帯植物群の概要について述べた。Birisia onychioidesはシベリア植物区前期白亜紀植物群の重要構成要素の一種である。
- 日本古生物学会の論文
- 1975-06-30
著者
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