TA-4産生能を有するヒト子宮頚部扁平上皮癌培養細胞株(OM01)の樹立とその性状

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概要

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TA-4産生能を有するヒト子宮頚部扁平上皮癌由来株(OMC-1)を新たに樹立した。子宮頚癌根治術後再発患者のVirchowリンパ節転移部より採取した腫瘍組織(大細胞非角化型扁平上皮癌)を用い、1984年7月、細胞分散法により初代培養を行った。その後クローニングを行うことなく腫瘍細胞の純培養系が得られ、現在までの15ヵ月間に30回の継代に成功している。培養細胞は多稜形で上反性敷石状に配列し、接触阻止はおこらず容易にpile upする傾向がみられる。微細構造上、豊富なtonofilamentやdesmosome結合がみられ、扁平上皮由来であることが確認された。倍加時間は43〜70時間、細胞密度は1.3〜1.7×105個/cm^2、コロニー形成率は23〜25%、分裂指数は3.3〜4.8%であった。染色体数は30〜159個と異数性に幅広く分布し、モードは低2倍体領域の45にあった。また核型分析では、13番の1番短腕への転座がみられ、13番および22番は欠失し、2本のマーカー染色体がみられた。Flow cytometryによる細胞周期解析からPhase fractionを算出するとG_1+G_0期が40.1%、S期が24.9%、G_2+M期が35.0%であった。OMC-1はnude mouseへの異種移植が可能で、原腫瘍と類似した組織型を呈する腫瘍が形成された。一方、OMC-1は著明なTA-4産生能を有し、1×105個の細胞を17日間培養した結果、培養液中への総TA-4放出量は第7代細胞で170ng、第15代細胞で83ngに達した。また免疫組織化学的に、原発腫瘍組織、培養細胞および異種移植腫瘍組織に明らかなTA-4の局在が認められた。従って本OMC-1株は癌研究への有用な材料になると考えられた。
社団法人日本産科婦人科学会の論文
1986-07-01

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