子宮頚癌組織および培養細胞における細胞間接着分子(ICAM-1)の発現に関する研究

概要

論文の詳細を見る
腫瘍-宿主免疫応答に重要な働きをする接着分子の, 子宮頚癌 (頚癌) 病巣における動態を知るために, 頚癌組織および培養細胞において, 接着分子のひとつであるIntercellular adhesion molecule-1 (ICAM-1) の発現状況と病巣周囲浸潤リンパ球との関係, ならびに主要組織適合抗原系 (MHC) との関係について免疫組織化学的検討を加え以下の結果を得た. 1) 頚癌15例中4例には腫瘍組織にICAM-1の発現がみられ, 周囲間質にはほとんどの症例で発現がみられた. また, ICAM-1の発現した症例では, CD3陽性細胞の浸潤が多かった. MHCに関しては, 6例にClass I抗原の減弱ないし消失が, 3例にClass II抗原の新たな発現を認めたが, ICAM-1とClass IおよびClass II抗原の発現の有無の間には明らかな相関はみられなかった. 2) 螢光抗体法により, 頚癌培養細胞OMC-1, OMC-4の細胞膜上にICAM-1の発現が認められた. 3) OMC-1上に発現したICAM-1は, IFN-γの添加によって著明に増強し, TNF-αでも増強がみられた. IFN-γによりICAM-1の発現増強効果については, 10u/ml〜50u/mlの範囲では濃度依存性に増強した. また, IFN-γ 10u/mlとTNF-α 10u/mlの併用では, さらに顕著に発現増強効果を認めた. 以上より, ICAM-1は頚癌局所免疫応答において重要であると考えられ, MHCとは独立して働いていることが推定された. さらにin vitroにおいて, 頚癌細胞上のICAM-1が, IFN-αやTNF-αの添加によって増強することから, これら薬剤を投与してICAM-1の腫瘍組織への発現を増強し, リンパ球の攻撃を受けやすくするという免疫賦活療法の可能性が示唆された.
社団法人日本産科婦人科学会の論文
1993-06-01

子宮頚癌組織および培養細胞における細胞間接着分子(ICAM-1)の発現に関する研究

スポンサーリンク

概要

著者

関連論文

スポンサーリンク