精神疾患合併妊娠の問題点と周産期管理に関する臨床的検討 : 14年間の教室例に対する考察
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概要
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大阪医科大学付属病院産科婦人科で過去14年間に経験した, 各種精神疾患合併妊娠の妊娠, 分娩, 産祷経過を検討し, 以下の成績を得た. 1. 精神疾患合併妊娠例の分娩数は51であり, 総分娩数6,481の0.79%を占めた. 精神分裂病7例, 非定型精神病8例, 躁うつ病・うつ病6例, てんかん25例, 不安神経症4例, 性格異常1例であり, 分娩年齢は, 精神分裂病, 非定型精神病, 不安神経症では高く (30歳以上), 発症年齢から7〜10年を経過していた. 2. 精神分裂病合併例は, 妊娠中毒症が比較的多くみられたが, 臨床経過は安定していた. 非定型精神病合併例は切迫早産が多くみられ, 8例中6例 (75.0%) が妊娠, 分娩により悪化した. 躁うつ病・うつ病合併例は分娩週数が平均35.5週で, 6例中3例 (50.0%) が早期産であり, 生下時体重も平均2,221gであつた. 産褥期に悪化がみられ, その率は66.7% (4/6) であった. てんかん合併例の妊娠, 分娩経過は比較的安定していた. 40.0% (10/25) の症例で, 発作がみられたり, 非妊娠時に比べ発作回数が増加した. しかし, 新生児への影響はなかつた. 不安神経症合併例は75.0% (3/4) が帝王切開による分娩となつたが, これらはすべて産科的適応によるものであつた. 悪化率は50.0% (2/4) であつた. 3. 妊娠中の薬剤服用による奇形の発生はなかつたが, 授乳による新生児のリチウム中毒が1例認められた. 4. 医療サイドへの協力度は精神分裂病で71.4%, 不安神経症で75%であつたが, その他の疾患ではかなり良好であつた. 以上より, 精神疾患合併妊娠は, 比較的産科合併症も多く, 妊娠, 分娩による悪化の頻度も高かつた. したがつて精神科医と産婦人科医の協力はもちろんのこと, 患者のことをよく知るkey personの存在と, 精神的支持を与えられる環境調整が強く望まれた.
- 1993-04-01
著者
-
後山 尚久
大阪医科大学未病科学・健康生成医学講座
-
杉本 修
大阪医科大学産科婦人科
-
後山 尚久
大阪医科大学 産科内分泌科(産婦人科学教室)
-
後山 尚久
大阪医科大学
-
岡本 吉明
大阪医科大学産婦人科
-
坪倉 省吾
大阪医大
-
岡本 吉明
大阪がん予防検診センター 婦人科検診部
-
坪倉 省吾
大阪医科大学産科婦人科学教室
-
杉本 修
大阪医科大学
-
坪倉 省吾
大阪医科大学産婦人科学教室
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