子宮膣部仮性びらんに対するCO_2レーザー、電気焼灼、ならびに冷凍療法の治癒機転に関する研究

概要

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子宮膣部仮性びらんにCO_2レーザー,電気焼灼,液体窒素冷凍の各療法を行い,細胞診,コルポスコピーならびに組織診にて,それらの間質再生と上皮修復機転を検討した.またびらん腺窩深度を測定し,治療による腺破壊度と治癒効果についても考察した.(1)びらん腺窩底の深度(生体換算)は,ナボット氏卵非存在群では平均4.27mm,存在群では平均7.51mmであった.今回の各療法の壊死深度(生体換算)は,レーザーと焼灼法が4.71,4.85mmであり,冷凍法では4.14mmと浅く,壊死深度不足の傾向がみられた.(2)細胞学的には,各療法とも直後には壊死物質と変形,染色異常細胞が,2〜3週目より扁平上皮系の,ついで腺系のtissue repair cell(TR)が出現した.4週目頃にはTR系中間細胞がみられ,6週目頃には正常の細胞像を示した.(3)コルポスコピーでは,各療法とも痂皮は1〜2週目より周辺から剥脱しはじめ,そこには周囲扁平上皮より幼若上皮の伸延がみられた.痂皮剥脱後,子宮口周辺には結合織様被膜と網状の非薄上皮が混在する幼若移行帯を認めた.これらは互いに連なって,4週目頃に次第に厚さを増して典型的移行帯となり,6週目頃には扁平上皮化が完成した.(4)組織学的検索では,三療法とも壊死層は1〜2週目に剥脱後,その直下の惨出層が表面に露呈し,数日後にはその下層の線維素様壊死層が表面に認められた.2〜3週目にはそれも剥脱し,幼若な非特異性炎症性肉芽が増生し,その表面には一層のfibroblastと思われる細胞あるいは好銀線維が覆い,その上を扁平上皮系の幼若細胞が,また残存せる円柱上皮下予備細胞が層を増しながら伸延すると同時に,下層の肉芽には炎症性細胞浸潤の減少と毛細血管の増殖を認めた.6〜8週目には,ほぼ正常な扁平上皮が形成された.以上から,三者の間質再生と上皮修復機転は経過に遅速があるものの類似していた.しかし冷凍法は壊死深度不足の傾向があるため,レーザーと焼灼法が臨床的に優れていた.
社団法人日本産科婦人科学会の論文
1983-05-01

子宮膣部仮性びらんに対するCO_2レーザー、電気焼灼、ならびに冷凍療法の治癒機転に関する研究

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