抗体による精子不動化作用に於ける補体活性経路について
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概要
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一般に補体の活性化は2つの経路によって起こる事が知られており, 1つはclassical pathwayであり, 主としてIgG, IgMが抗原と結合することによって活性化され, これに9つの補体成分C1〜C9及びCa^<++>, Mg^<++>が関与するもので, 他の1つは, altemate pathwayと呼ばれ, 抗原に種々の抗体が結合するか, 又は多糖類, Lipopolysaccharideによって活性化され, C1, C4, C2及びCa^<++>の関与なしにC3からC9までを活性化するものである.著者らの行っている精子不動化試験においても補体は必要不可欠なものであり, 補体としてモルモット血清を使用Lているが, その際の補体活性経路については不明であった.そこで著者らは精子不動化試験における補体活性経路についてC4欠損(C4D)モルモット血清及びEGTA-Mg^<++>を用いて検討Lた結果, 次の成績を得た. (1) EGTA-Mg^<++>を用いて精子不動化試験の反応系のCa<++>をキレートすると補体の活性化が阻止され, 精子不動化作用が発現しなかった. このこはモルモット補体による羊赤血球の溶血をEGTA-Mg<++>溶液が阻止したものと同一の態度であつた. (2) C4欠損 (C4D) モルモット血清を補体として用いた場合には精子不動化作用が発現しなかったが, C4欠損 (C4D) モルモット血清にモルモットC4成分溶液を等量に加えたものを補体として用いた場合, 精子不動化作用が発現した. 以上の事より, 精子不動化試験における補体の活性化にはC4およびCa<++>が不可欠であり, この事より精子不動化試験における補体活性経路はclassical pathwayであり, alternate pathwayは関与しない事がわかつた.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1979-11-01
著者
-
伊熊 健一郎
兵庫医科大学産科婦人科学教室
-
伊熊 健一郎
兵庫医科大学 産婦人科
-
礒島 晋三
兵庫医科大学産科婦人科学教室
-
窪田 耕三
兵庫医科大学産婦人科学教室
-
香山 浩二
兵庫医科大学先端医学研究所 発生生殖 部門
-
礒島 晋三
兵庫医科大学 産婦人科
-
鎌田 敏雄
坂出回生病院
-
窪田 耕三
兵庫医科大学産科婦人科学教室
-
鎌田 敏雄
坂出回生病院産婦人科
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