定量的精子不動化試験とその臨床応用
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概要
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血中抗精子抗体の検出法として多数の方法が考案され臨床的にも応用されているが, 従来の方法は大部分が定性又は半定量の域を出るものではなかった. 我々が最初に報告した不妊症婦人血中に特異的に検出される補体依存性精子不動化抗体の検出法すなわち精子不動化試験法は抗体を保有しない対照血清中の精子運動率(C%)を被検血清中の精子運動率(T%)で除した値, すなわちC/Tを精子不動化値(SIV値)とし, これが2以上を示すものを陽性としたが, 大きい値を示す程精子不動化作用が強いと判定する半定量的測定法であり, 精子不動化作用の強い血清においては, SIV値の差は不正確になり, 又無限大(∞)も出現して抗体価の正確な測定ができなかった. そこで精子不動化試験の定量化を試みたが, 方法としては被検血清を倍数希釈し, 各希釈段階における精子不動化率 (C-T/C×100) を従来の精子不動化試験法によつて算定しこの精子不動化率を血清希釈倍数を横軸とした半対数表に図示し, ちょうど50%精子不動化率を示す血清希釈倍数値 (SI_<50>値) を求める方法である. 本法によると従来の精子不動化試験による不正確なSIV高値及至は∞を示す血清においてもSI_<50>値を求めることによつて定量が可能であり, 又標準精子不動化抗体含有血清を設定してこれを定量的測定には必ず標準血清として加え, そのSI_<50>値を求めることにより, 各測定毎の反応系の違いによる測定値変動を補正することが出来る. この定量的精子不動化試験を用いて血中精子不動化抗体保有不妊婦人の血中抗体価を長期間に亘り, 経過観察してみると従来考えられていたように血中精子不動化抗体の値はけつして一定ではなく, かなり強い波状曲線を示して動揺している新事実が観察された.
- 1979-11-01
著者
-
香山 浩二
兵庫医科大学産科婦人科教室
-
礒島 晋三
兵庫医大
-
伊熊 健一郎
兵庫医科大学産科婦人科学教室
-
伊熊 健一郎
兵庫医科大学 産婦人科
-
伊熊 健一郎
健康保険組合連合会大阪中央病院
-
礒島 晋三
兵庫医科大学産科婦人科学教室
-
窪田 耕三
兵庫医科大学産婦人科学教室
-
香山 浩二
兵庫医科大学先端医学研究所 発生生殖 部門
-
窪田 耕三
明和病院産婦人科
-
礒島 晋三
兵庫医科大学 産婦人科
-
鎌田 敏雄
香川県坂出市回生病院産婦人科
-
鎌田 敏雄
坂出同生病院産婦人科
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