血清,頚管粘液および精漿中の精子不動化抗体を検出するのに必要な補体量に関する研究

概要

論文の詳細を見る
精子不動化抗体の検出には補体が必要不可欠であり, 反応系に加える補体量によつて精子不動化試験の感度が大きく影響される.すでに血中精子不動化抗体の測定に必要な補体量については報告したが, 最近血中のみならず頚管粘液並びに精漿中の抗体検出が試みられるようになり, 血清以外の検体を被検体とした場合の必要補体量の検討が必要となつてきた.本論文では精子不動化試験の各反応系因子の補体活性に及ぼす影響と, 実際に血清・頚管粘液及び精漿を被検体とした場合の精子不動化実験における補体消費量につき比較検討し, 下記の結果を得た.1.べロテール緩衝液(VB^<2+>)にモルモつト血清補体11.9CH_<50>を加えて32℃, 60分間のincubationによる補体活性低下は, 2.0±0.3CH_<50>であつた. 2.血清, 頚管粘液抽出液及び精漿中で反応させた場合には, VB^<2+>緩衝液中と比較して前3者では, それぞれさらに, 0.2土0.3CH_<50>, 0.2±0.2CH_<50>, 3.3±0.8CH_<50>の補体活性低下をみた. 3.人洗浄精子自身による補体消費は精子数100×10^4, 200×10^4及び400×10^4に対してそれぞれ, .3.5±0.7CH_<50>, 7.3±0.3CH_<50>, 15.7±2.2CH_<50>であつた. 4.血清, 頚管粘液描出液及び精漿を被検体として実際に精子不動化試験を行つた場合の補体消費量はそれぞれ, 5.0±0.7CH_<50>, 4.9±0.8CH_<50>, 11.1±1.2CH_<50>であつた. 5.精子不動化試験の反応感度を最も鋭敏にするために必要な補体量は, 血清及び頚管粘液抽出被を被検体とした場合には10CH_<50>以上であり, 精漿の場合は, 15CH_<50>以上であつた.
社団法人日本産科婦人科学会の論文
1981-06-01

血清,頚管粘液および精漿中の精子不動化抗体を検出するのに必要な補体量に関する研究

スポンサーリンク

概要

著者

関連論文

スポンサーリンク