精子不動化試験に用いられる最適補体源と補体量に関する研究

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抗精子抗体の中で不妊症の発生と最も密接な関係があると証明されている精子不動化抗体の検出には補体が必要不可欠であり, 反応剰こ加える補体の質と力価の差異により抗体検出感度が大きい影響を受けることが想定される.そこで著者らは精子不動化試険に用いる補体として最適な血清の種類と必要補体量の検討を行ない, 下記の結果を得た.1)精子不動化試険に用いる補体としてはモルモつト血清が最適であり, ラつト, 家兎血清では測定感度がいくぶん低下し, またヒト, マウス血清では抗体の検出が殆ど不可能であつた・2)同一動物血清間では反応系に加える補体量(CH_<50>)と精子不動化抗体価(SI_<50>)の間に正の相関がみられたが, 異種動物血清間では両者の値に相関がみられなかつた.3)ヒト血清を濃縮したものと, これと同程度の補体価(CH_<50>)迄稀釈したモルモつト血合を補体として使用した場合, 補体価(CH_<50>)はほぼ同じであつても精子不動化抗体価(SI_<50>)はモルモつト血清を用いた場合に比較してヒト血清を使用した場合は著しく低値を示した.4)血清中の精子不動仏抗体の検出に際しては各反応系に10CH_<50>以上のモルモつト補体を加える必要があり, これ以下の補体量では, 測定感度の著しい低下をきたした.以上の実験結果よりみて, 精子不動化試験用の補体源としてはモルモつト血清を用いるべきであり, 最も鋭敏な測定系を得るためには反応系に少なくとも10CH_<50>以上の補体が必要であることが明らかになつた.
社団法人日本産科婦人科学会の論文
1981-03-01

精子不動化試験に用いられる最適補体源と補体量に関する研究

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