乏精子症患者精子の受精能に関する研究 : 洗浄濃縮精子による受精率および透明帝除去ハムスター卵に対するin vitroに於ける受精能について

概要

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乏精子症男性不妊患者の精子受精能を検討するため, 精子濃度20×10^6/ml以下の乏精子症患者各10症例につき, 洗浄濃縮精子を用いて行つた人工受精(AIH)による妊娠率並びに透明帝除去ハムスター卵とのin vitro受精実験系における受精率を検討した.1.各々乏精子症患者精液(10例)に洗浄濃縮操作を加え, 精子濃度(2〜6倍)及び運動率が上昇した精子浮遊液を用いて平均3回(1〜7回)AIHを試みたが, 1例の妊娠成功例もみられなかつた.2.透明帝除去ハムスター卵に対するin vitro受精実験系における受精率は, 健康男子精子の受精率が, 73.3%であつたのに比較して, 乏精子症患者精子では, 7症例で0%, 他の3症例で, それぞれ5.0%, 10.0%, 33.3%と非常に低率であつた.3.4例の原因不明不妊夫婦における夫精子の受精能を, 透明帝除去ハムスター卵に対するin vitro受精実験で検討したところ, その受精率は, 7.1%, 37.5%, 50.0%, 55.6%と非常に低い受精率を示すものがあり, 一般精液所見で異常の認められないような不妊男性症例にも受精能の障害されている例のある事が, 示唆された.
1981-12-01