絨毛上皮腫肺病巣に対する手術療法に関する臨床的検討
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概要
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昭和38〜51年に当科において扱つた絨毛上皮腫(絨腫)43例のうち,肺病巣に対して外科的処置を加えた10例について臨床的検討を試みた. 結果として,現在寛解状態にあるもの5例,腫瘍死4例,偶発症による死亡1例である. 年令,先行妊娠,潜伏期,入院時病巣には寛解群と死亡群との間にみるべき差異はなかつた.術前治療内容は化学療法と子宮単摘がなされているが,抗癌剤の投与量については症例によりまちまちであり,両群の間に差をみなかつた.ただ,寛解症例は概して抗癌剤にsensitiveな傾向にあつた. 術前状態として,局所(***)に病巣が残存しているものはなく,また,肺以外への転移を認めるものはなかつた.尿中HCGは,低単位測定のできなかつた初期の2例および3,200 IU/Lを示した1例を除き,他の7例は1,000 IU/L未満であつたが,800 IU/Lおよび640 IU/Lの2例は最終的に予後不良であつた.肺病巣はいずれも片側性であり,7例は単一病巣,3例は2〜3個の複数病巣であつた.寛解群はいずれも尿中HCGは160 IU/L以下であり,肺病巣は単一であつた. 術式は部分切除8例,肺葉切除2例であつた.摘出標本に絨腫な確認できたもの8例,血腫のみのもの1例壊死のみのもの1例であつた. 術後の化学療法は症例によつて一定していないが,十分行われるべきと考えられる. 以上のことから,絨腫肺病巣に対する手術療法は,術前の病態を十分に検討し,条件の整つた症例に行われるならば有効と考えられる.その条件としては,抗癌剤にsensitiveであること,術前の化学療法によつて肺病巣が減少縮小し,その辺縁が鮮鋭硬化していること,尿中HCGがLHレベルに近いことなどであり,もちろん,肺病巣が片側性で数の少ないことや他の組織臓器に病巣のないことなども必須である.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1978-10-01
著者
-
金澤 浩二
琉球大
-
金沢 浩二
新潟大学医学部産科婦人科学教室
-
竹内 正七
新潟大学医学部産科婦人科
-
大野 雅弘
新潟大学医学部産科婦人科学教室
-
森平 仁
新潟大学医学部産婦人科学教室
-
森平 仁
新潟大学医学部産科婦人科学教室
-
金沢 浩二
新潟大学医学部産科婦人科
-
大野 雅弘
新潟大学医学部産科婦人科
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