退行期骨粗鬆症に対するエストロゲンとビタミンDの骨塩減少抑制効果に関する研究
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概要
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閉経後骨粗鬆症における腰椎骨塩量(BMD)の減少に対するエストロゲンおよびビタミンDの効果について検討した. 自然閉経後女性にエストロゲン(14例: Premarin 0.625mg/day), ビタミンD (16例: Onealfa 1.0mg/day)を投与しDual Energy X-ray Absorptiometry (DEXA)法にて腰椎(L2〜4)のBMDの変化を測定した. 未投与群(11例)は12カ月で -1.29±3.52%(NS)と減少傾向がみられた. これに対しエストロゲン投与群は6カ月で4.47±2.53%(mean±SD), 12カ月で3.20±1.95%と有意(p<0.01)に増加した. 長期投与についての検討(18例)では投与開始後0〜1年からの年間の増加率は4.61±2.33%であつたが, それ以降は1〜2年で1.83±0.89%, 2〜3年で1.00±1.17%, 3〜4年で0.59±0.96%と漸減した(p<0.01). ビタミンD群は増加例が10例, 減少例が6例となり, 全体として投与前に比して有意の変化はみられなかつた. さらに, これらの2群における背景因子について検討したが年齢, 身長, 体重, 閉経年齢, 投与前のBMD, 血中ALP, Caに有意差は認められなかつた. エストロゲンは投与症例の全例に対しBMDの増加をもたらし閉経以後の骨塩減少の予防については第1選択となり得るが, ビタミンDの効果に関してはさらに検討が必要であることが強く示唆された.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1993-02-01
著者
-
伊吹 令人
群馬大学医学部産婦人科
-
岡野 浩哉
群馬大学医学部産婦人科
-
曽田 雅之
群馬大学医学部産婦人科
-
岡野 浩哉
群馬大学 医学部 産科婦人科
-
水沼 英樹
群馬大学医学部産科婦人科教室
-
本庄 滋一郎
国立高崎病院
-
本症 滋一郎
群馬大学医学部産科婦人科学教室
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