婦人内***におけるCA-125の組織内分布の定量的研究
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概要
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子宮内膜症と関連する卵巣癌関連抗原 CA-125の婦人内***組織における組織局在を比較検討するため, 組織中CA-125含量の定量を試みた. 手術による摘出臓器を対象として, 子宮筋腫26例, 子宮内膜症6例, 子宮腺筋症8例, 子宮頚癌10例, 子宮体癌3例, 卵巣癌4例のそれぞれにおいて, 子宮内膜, 子宮筋層, 子宮筋腫核, 子宮頚管内膜, 子宮頚癌組織, 内膜症組織, 腺筋症組織, 卵巣, 卵管, 正常月経周期各時期に伴う子宮体内膜, 月経血中のCA-125をCA-125^<TM>RIAキットを用いて定量した. 正常組織におけるCA-125値は, 子宮体内膜334.7±39.1U/mg-protein, 子宮筋層66.1±8.6, 子宮頚管内膜131.7±24.2, 卵巣64.6±15.6, 卵管111.6±15.8で, 子宮体内膜は, 他の部位より有意に高く(p<0.001), また卵管は子宮筋層, 卵巣に比し有意に高かつた(p<0.05). 子宮内膜症および腺筋症組織ではそれぞれ217.5±23.1, 235.3±47.7と他の部位に比べ高値であつた. 月経血と末梢血のCA-125の比較では, 月経血377.9±79.9U/ml, 血清32.7±6.43U/mlで有意差(p<0.05)を認めた. 各疾患における組織中のCA-125の比較では, 子宮筋腫群および子宮頚癌群において, 子宮内膜のCA-125が高く他の組織との間で有意差(p<0.01)を認めた. 子宮内膜症, 子宮腺筋症, 子宮体部癌, 卵巣癌群では子宮内膜と他の組織との間で有意差は認めなかつた. 疾患別対比では, 子宮内膜は卵巣癌群を除き各疾患群で高値で, 疾患による有意差は認めなかつた. 子宮筋腫群の筋層組織と子宮腺筋症組織との比較では有意差を認めた(p<0・01). 卵巣組織では, 卵巣癌群が他の疾患群に比べ有意に高かつた(p<0.01). 以上より, CA-125は生理的状態では子宮内膜, 卵管, 月経血で高値を示す事, 子宮内膜症組織および子宮腺筋症組織で高値をとる事が明らかとなり, 子宮内膜とCA-125の関連を裏付ける結果が得られた.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1988-05-01
著者
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