LH-RH 拍動的投与法に対する無反応例に認められた下垂体の脱感作現象
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概要
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10〜20μgの微量LH-RHを間欠的に投与するLH-RHの拍動的投与法(Pulse療法)に対し, 排卵の誘発された群(Ov群)及び不成功に終わった群の2群間の内分泌学的背景について検討した.排卵誘発できなかった6例中5例にPulse療法中LH, FSHの基礎値が次第に低下し, LH-RHに対する下垂体の反応性が低下するいわゆるdesensitization現象(Des)が出現した.Des群とOv群間で血中LH, FSH, E_2, PRLの基礎値, LH/FSH比及びLH-RHに対するLH, FSHの反応性に有意差は見られず, また10μgのLH-RHを皮下投与した時の血中LH-RHの出現及び消失パターンもDes群とOv群間で差を認めなかった.しかし, Des群では肥満傾向が強く, また視床下部下垂体機能検査としてのInsulin Tolerance Test及びGH-RH testに対するGHの反応性が有意に(p<0.01, p<0.05)低下しており, 下垂体の機能異常の存在が示唆された.一方, 内因性LH-RHのPulse状分泌頻度を調べる目的で20分毎に6時間にわたりLHのPulse分泌頻度を検討したところ, Des群では有意に(p<0.05)高頻度のLH pulseが認められた.このように, Pulse療法で下垂体のDesを示した症例では, GH-RHに対する感受性が欠如するなど下垂体の機能異常が存在し, LH-RHに対し次第に反応性が低下することが示された.これらの症例ではLH, FSHの分泌低下によりshort loopのnegative feedback作用が低下するため二次的にLH-RHの分泌亢進を来しさらに下垂体の機能異常を増悪させている可能性が示唆された.これは, 従来視床下部性無月経と考えられていた症例の中にはこのように下垂体自体の異常が原発している型があることを示唆するものである.Pulse療法不成功の残りの1症例はPCOであり, Desとは対照的に下垂体がLH-RHに対し過剰反応を示しLHの分泌増加を示した.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1987-10-01
著者
-
五十嵐 正雄
群馬大学医学都産科婦人科学教室
-
伊吹 令人
群馬大学医学部産婦人科
-
水沼 英樹
群馬大学医学部産科婦人科教室
-
小原 満雄
群馬大
-
小原 満雄
群馬大学医学部産科婦人科
-
五十嵐 正雄
群馬大学医学部産科婦人科学教室
-
小原 満雄
横田産婦人科医院
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