骨粗鬆症の診断法としてのMD法の再評価

概要

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従来, わが国の産婦人科領域においてはMicrodensitometry method (MD法)を用いて, 骨粗髭症の診断が行われてきた. しかし, MD法は第二中手骨の骨変化を観察するものであるので, MD法による骨粗髭症の診断が, はたして椎体や大腿骨の骨粗髭症の重症度を正しく反映しているかどうかは疑問であつた. 本研究では, この問題を解明する目的で, 116例の未治療患者の骨変化をMD法, 慈大式分類(伊丹指数), Singhの分類(Singh指数)で, また116例中35例についてはQDR法を用いて腰椎の骨塩量を測定し, それぞれの結果を比較して以下の結論を得た. 1) MCI, d, GSmax, GSmin,ΣGS/DのMD法各指標は, 腰椎骨粗髭症の重症度をよく反映しており, 伊丹指数1度以上の骨粗髭症群では, 0度の健常群に対して, MCI, GSmax, GSmin,ΣGS/Dはそれぞれ有意に減少し(p<0.01), dは有意に増加した(p<0.01). 2) MCI, d, GSmax, GSmin, ΣGS/Dの各指標は, 大腿骨頚部の骨粗髭症の重症度をあまり反映せず, Singh指数3度以下の重症骨粗髭症群においてのみ, 有意の変化(p<0.01)を示し, Singh指数5度, 4度の軽症群では, 有意の変化を示さなかつた. 3) MD法の総合評点は, 伊丹指数との間に有意の相関を認めたが(rs=0.691, p<0.001), Singh指数との間には, 有意の相関を認めず, 大腿骨頚部の骨粗髭症の重症度を全く反映していなかつた. 4) MD法の各指標のうち, 伊丹指数と最も相関係数の高いMCIおよびGSminの実測値から新たに本庄・五十嵐指数(H ・ I Index)を考案した. H ・ I Indexは伊丹指数との間に, MD法総合評点より強い相関を認め(rs=-0.794, p<0.001), さらにH・I Index80未満(伊丹指数0度の群の-1.5SD未満)を骨粗髭症と診断した場合, 腰椎骨粗髭症に関しては, false positive 1.3%, false negative 0%と非常に正確に診断することが可能であつた. 5) H-I Indexは, QDR法により測定した腰椎のBMDと強い正の相関を認め(r=0.759, p<0.001), その測定値に対する信頼性が確認された.
社団法人日本産科婦人科学会の論文
1989-11-01

骨粗鬆症の診断法としてのMD法の再評価

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