閉経, 去勢婦人の血清オステオカルシン値に対するエストロゲン補充療法の影響
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概要
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閉経前婦人8名, 閉経婦人21名, 両側卵巣摘出婦人9名の血清オステオカルシンを測定し, 閉経または両側卵巣摘出による変動を検討した. また, 閉経または両側卵巣摘出婦人30名を2群に分け, エストロゲン投与群(E群) 16名には, 結合型エストロゲン0.625mg/日を6カ月間連続投与し, 対照群(C群) 14名と血清オステオカルシン, Ca, P, ALPの変化について比較検討し以下の成績を得た. 1) 血清オステオカルシン値は, 閉経前2.81±0.76ng/ml (mean±SD)に比して, 閉経または両側卵巣摘出後5年以内では4.56±1.74ng/mlと有意(p<0.01)に上昇し, 閉経または両側卵巣摘出後6年から10年では3.33±0.91ng/mlと閉経または両側卵巣摘出後5年以内に比して有意(p<0.05)に減少し, 閉経または両側卵巣摘出後11年以降では, 統計学的有意差は認めないが, 閉経または両側卵巣摘出後6年から10年に比して上昇傾向を認めた. 2) E群の血清オステオカルシン値は, 4.45±1.40ng/ml (mean±SD)から2.97±1.43ng/mlへと有意(p<0.001)に減少したが, C群では4.40±2.19ng/mlから4.71±1.80ng/mlへと有意な変動を認めなかつた. 3) E群の血清Ca, P, ALPはそれぞれ, 9.61±0.39mg/dl(mean±SD)から9.29±0.32mg/dl(p<0.01), 3.25±0.29mg/dlから2.95±0.34mg/dl(p<0.05),141.8±55.3IU/lから112.3±50.1IU/l(p<0.001)へと有意に減少したが, C群の血清Ca, P, ALPは有意な変動を示さなかつた. 4) 血清オステオカルシン値とALP値との間には有意な相関は認められなかつたが, E群の血清オステオカルシン値とALP値のエストロゲン投与による変動率の間には, r=0.60で有意(p<0.05)な相関を認めた. 以上より, 血清オステオカルシン値は閉経および両側卵巣摘出から5年以内では, 有意に上昇し, エストロゲン投与により有意に減少し, その変動率は,ALP値の変動率との間に相関性を認めた.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1989-10-01
著者
-
五十嵐 正雄
群馬大学医学都産科婦人科学教室
-
曽田 雅之
群馬大学医学部産婦人科
-
五十嵐 正雄
群馬大
-
水沼 英樹
群馬大学医学部産科婦人科教室
-
本庄 滋一郎
群馬大学医学部産科婦人科学教室
-
五十嵐 正雄
群馬大学医学部産科婦人科学教室
-
五十嵐 正雄
群馬大学 産婦人科
-
本庄 滋一郎
国立高崎病院
-
五十嵐 正雄
群馬大学医学部産婦人科学教室
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