無月経におけるLH pulse分泌と視床下部 : 下垂体機能の相関に関する研究
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概要
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各種無月経の視床下部-下垂体機能を明らかにする目的で, 正常月経卵胞初期婦人(EF) 5例と各種無月経婦人42例におけるgonadotropin (主にLH)のpulse分泌を調べ, LH, FSHの基礎値およびLH-RHに対する下垂体の反応性との関係を検討した. 6時間でのLH pulse頻度(LHpf)は, EFが3.4±0.5 (Mean±S.D.)回であり, 第II度視床下部性無月経(HAII), 高PRL血症性無月経(Hyper PRL)ではそれぞれ1.7±1.4, 1.6±1.0回と低頻度であった. 逆にPCOでは5.2±0.8回と高頻度であった. 第I度視床下部性無月経ではLHpfは1〜5回と広範囲に分布したが, EFのpfが3.4回であったので, これをLHpf3.4回未満の低頻度群(HAIa)と3.4回以上の高頻度群(HAIb)の2群に分類した. HAIaとHAIbではE_2値には差が見られなかったが, 100μg LH-RHに対する反応性はHAIaがHAIbに比べて有意に(p<0.05)高かった. 一方, 全視床下部性無月経婦人において, LHpf 3.4回未満の症例ではLHpfと平均LH, FSH基礎値および100μg LH-RHに対するLHの反応性との間にはそれぞれ有意の正の相関が見られたが, 3.4回以上の症例ではいずれも有意の相関は見られなかった. これらの事実より, LHpf 3.4回未満の視床下部性無月経ではLH-RH分泌不全が無月経の主な原因であり, 3.4回以上の無月経ではその他の因子が関与していることが示唆された. PCOではLH pulse高頻度, 高振幅を示したが, LHpfの増加に伴い下垂体予備能の低下が認められた. HAIIではLHに比べてFSH pulse 頻度の多さが目立ち, pulse regulatorとしてLH-RH以外の関与も示唆された. さらに, Hyper PRL ではLHpf低下にもかかわらずLH-RHに対する反応性は良好であり, 下垂体へのpriming効果は保たれているものと考えられる. 以上, gonadotropinのpulse分泌を中心に無月経を見直すことでその特微がより明らかとなった.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1990-01-01
著者
-
五十嵐 正雄
群馬大学医学都産科婦人科学教室
-
伊吹 令人
群馬大学医学部産婦人科
-
安藤 一道
the Japanese r-hFSH Ovulation Induction Study Group
-
安藤 一道
群馬大学周産母子センター
-
安藤 一道
群馬大学医学部附属病院周産母子センター
-
安藤 一道
館林厚生病院 産婦人科
-
水沼 英樹
群馬大学医学部産科婦人科教室
-
小原 満雄
群馬大
-
小原 満雄
群馬大学医学部産科婦人科
-
本庄 滋一郎
群馬大学医学部産科婦人科学教室
-
五十嵐 正雄
群馬大学医学部産科婦人科学教室
-
小原 満雄
横田産婦人科医院
-
本庄 滋一郎
国立高崎病院
-
五十嵐 正雄
群馬大学医学部産婦人科学教室
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