組織間生産流通情報ネットワークの進化過程に関する考察
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概要
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本研究では、情報技術の活用によって、組織間生産流通情報ネットワークが進化する過程を究明するために、まず、実際の組織間生産流通ネットワークにもとづいて、そのネットワークの構成要素を抽出し、6つの抽象化した代替的組織間モデル(ARBMモデル : Alternative Retailer Broker Maker Model)を構築する。次に、このモデルにもとづいて、構成要素の数や配送頻度など流通構造に関わる要因を変化させ、配送コストと発注コストとの2つの評価指標を用いて、代替的組織間構造の優位性を相互に比較する。この結果にもとづいて、流通革命の問題を検討し、組織間生産流通情報ネットワークの進化過程を議論する。ここで進化とは、ネットワークが、集合的主体として、その形や構造を変えることにより、環境の変化に適応することである。最後に、仲介型構造の将来性について議論する。本研究は、6つの代替的組織間構造を用いることによって、組織間生産流通構造における卸売業の位置付けや形態について、抽象化を行ったことに特色がある。すなわち、この構造については、生産流通プロセスを記述し、コスト計算の数式化などを行うことによって、操作的オーガニゼーションモデルを構築し、代替的組織間構造の評価や相互比較を行なう点にある。その結果、代替的組織間構造にもとづいて、わが国の流通構造の変化を進化の立場で、説明することができただけではなく、最近の組織間生産流通情報ネットワークが仲介型に進化しつつあるという傾向を発見することができた。さらに、本モデルを発展させることによって、将来の組織間生産流通構造が、環境の変化への適応ないし創造に関して、その構造をいかに変えていくかのシナリオを作成することができるものと考えられる。
- 日本社会情報学会の論文
- 1997-09-30
著者
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