戻し交雑後代のレース反応を利用したイネ品種のいもち病真性抵抗性遺伝子型の推定法
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
イネのいもち病抵抗性育種は真性抵抗件およびほ場抵抗性の両面から進める必要がある。真性抵抗性の利用に当たっては母本の真性抵抗性遺伝子型を正確に推定し,既知の真性抵抗性遺伝子との異同を明らかにして効率的に母本を選定しなければならない。多数のいもち病菌レースに属する菌糸を接種して反応型によりイネ品種の真性抵抗性遺伝子型を推定する方法は既知の真性抵抗性遺伝子を取り込んだ品種・系統についてはきわめて有効な方法であるが,導入材料,特に未知の真性抵抗性遺伝子を持つ材料については適用できない。そこで戻し交雑とレース反応を利用した真性抵抗性遺伝子型の推定方法をここに提案する。基本的た考え方としては,まず畑晩播法などで真性抵抗性を保持すると推定された導入材料(A)を選抜する。真性抵抗性遺伝子を欠く検定用品種(B)をAに交雑し,Bを戻し交雑してB1F_2種子を得る。B_1F_2系統別に病原性範囲の最も狭いレース001(Bは罹病する)に属する菌糸を接種し,抵抗性(R):感受性(S)を3:1または1:3に分離する系統のみを選定する。選定された各系統を含むセット別に既知の真性抵抗性遺伝子を個々に特異的に侵すレースに属する菌糸を接種する。もし,S固定系統が出現すれば,そのセットに接種した菌糸の属するレースに対応する真件抵抗性遺伝子をAが保持していることになる。全供試レースに対してR:Sを3:1または1:3に分離する系統が認められれば,その系統およびAは未知の真性抵抗性遺伝子を持っていることを確認できるので,さらに既知の真件抵抗性遺伝子との関係を解析し,戻し交雑を行うなど育種に利用する。ただし,理想的な菌糸のセットは得がたいので,実際に利用しうる範囲の菌糸により判定できる方法を考案して提示した。
- 日本育種学会の論文
- 1983-12-01
著者
-
浅賀 宏一
東北農業試験場栽培第一部
-
横尾 政雄
農業研究センター
-
江塚 昭典
中国農試
-
鳥山 国士
農業生物資源研究所
-
鳥山 國士
農業生物資源研
-
鳥山 国士
四国農業試験場
-
江塚 昭典
中国農業試験場
-
横尾 政雄
農林水産省農研セ
関連論文
- 水稲の高温登熟について : 品質の変化と品種間差異
- (174) ダイズ細菌病の分類学的研究 : 3) Pseudomonas cichorii の分離例 (昭和58年度日本植物病理学会大会講演要旨)
- (173) ダイズ細菌病の分類学的研究 : 2) 斑点細菌病 (昭和58年度日本植物病理学会大会講演要旨)
- (24) 大豆細菌病の分類学的研究 : 1. 葉焼病 (秋季関東部会講演要旨)
- 水稲における耐冷性の遺伝と選抜に関する研究 : V.耐冷性に関する個体選抜および系統選抜の効果
- 水稲における耐冷性の遺伝と選抜に関する研究 : IV.耐冷性に関するF_3系統選抜の直接効果および間接的作用
- 放射線による水稲新品種レイメイの育成
- 水稲における耐冷性検定方法に関する研究
- (7) 水稲における耐冷性検定方法に関する研究 : 日本育種学会第24回講演会講演要旨 : 一般講演
- 〔l0〕育種家の選抜に関する研究 : 日本育種学会第22回講演会講演要旨 : 一般講演
- 水稲における人為突然変異育種に関する研究 : 第II報放射性^p処理による多収系統"ふ系53号"の育成
- 水稲の耐冷性検定方法に関する研究
- 水稲における耐冷性の遺伝と選抜に関する研究 : I. 耐冷性の遺伝分析
- 水稲における人為突然変異育種に関する研究 : 第1報 放射性P-32処理個体の分蘖と突然変異との関係について
- 水稲における個体および系統の遺伝力の推定
- イネいもち病圃場抵抗性の安定性に関する問題点
- 戻し交雑後代のレース反応を利用したイネ品種のいもち病真性抵抗性遺伝子型の推定法
- (190) イネ白葉枯病に対する品種抵抗性に関する研究 : 6. 早稲愛国3号の抵抗性遺伝子Wawについて
- (24) イネ品種のいもち病抵抗性に関する研究 : 主要品種・系統の真性抵抗性遺伝子型の推定 (関西部会講演要旨)
- (147) イネ縞葉枯病抵抗性育成系統中国40号, 41号, 42号, 46号, 49号, 51号, および中系314について (昭和44年度日本植物病理学会大会講演要旨)
- (23) イネ品種のいもち病抵抗性に関する研究 : 日本陸稲のいもち病抵抗性について (昭和44年度日本植物病理学会大会講演要旨)
- イネ縞葉枯病抵抗性品種の育成に関する研究 : 第3報 外国稲の抵抗性の遺伝
- (56) イネ品種のいもち病抵抗性に関する研究 : St. No.1 および中国31号の抵抗性について (菌類病(昭和43年度日本植物病理学会大会講演要旨))
- イネ縞葉枯病抵抗性品種の育成に関する研究 : 第2報 日本陸稲の抵抗性の遺伝
- イネ縞葉桔病抵抗性品種の育成に関する研究 : 第1報 イネ縞葉枯病抵抗性の品種間差異
- (33) イネ品種のいもち病抵抗性に関する研究 : 未知の真性抵抗性反応を示す突然変異系統について (菌類病(昭和42年度日本植物病理学会大会講演要旨))
- (32) イネ品種のいもち病抵抗性に関する研究 : 圃場抵抗性の幼苗検定について (菌類病(昭和42年度日本植物病理学会大会講演要旨))
- (31) イネ品種のいもち病抵抗性に関する研究 : 本田・畑苗代における圃場抵抗性と高度圃場抵抗性系統St.No.1および中国31号について (菌類病(昭和42年度日本植物病理学会大会講演要旨))
- (80) 稲縞葉枯病耐病性品種の育成に関する研究. : 第5報 中国31号の育成について : 日本育種学会第28回講演会講演要旨 : 一般講演
- (109) イネ縞葉枯病抵抗性の品種間差の幼苗検定(第2報) (ウイルス病(昭和41年度日本植物病理学会))
- (75) 稲縞葉枯病耐病性品種の育成に関する研究 : 第4報 日本陸稲と外国稲の耐病性遺伝子の関係 : 日本育種学会第27回講演会講演要旨 : 一般講演
- (74) 稲縞葉桔病耐病性品種の育成に関する研究 : 第3報 外国稲の耐病性の遺伝 : 日本育種学会第27回講演会講演要旨 : 一般講演
- (83) 稲縞葉枯病耐病性品種の育成に関する研究 : 第2報 日本陸稲の耐病性の遺伝 : 日本育種学会第26回講演会講演要旨 : 一般講演
- (82) 稲縞葉枯病耐病性品種の育成に関する研究 : 第1報 稲品種の耐病性 : 日本育種学会第26回講演会講演要旨 : 一般講演
- (86) イネ縞葉枯病抵抗性品種 St.No.1 について (ウイルス病(昭和39年度日本植物病理学会大会講演要旨))
- 水稲における耐冷性の遺伝と選抜に関する研究 : III.長尾および高橋の標識遺伝子と耐冷性遺伝子との連鎖関係について
- 水稲における人為突然変異育種に関する研究 : 第III報X線処理による多収系統"ふ系54号"の育成
- 水稲における耐冷性の遺伝と選抜に関する研究 : 第2報耐冷性と草型および収量性との関係
- いもち病抵抗性との連鎖を利用して分析したイネの出穂期の三遺伝子性分離
- 日本とIRRIとのイネ白葉枯病菌菌糸群の判別体系の比較
- 水稲選抜実験における遺伝獲得量の期待値と実現値との比較
- 水稲の直播栽培における栽植密度が収量と他形質との相関関係におよぼす影響
- (88) 直播水稲の栽植密度と選抜効果 : 日本育種学会第28回講演会講演要旨 : 一般講演
- (57) 水稲雑種集団の遺伝子構成におよぼす栽植密度の影響 : 日本育種学会第26回講演会講演要旨 : 一般講演
- 日本在来陸稲の出穂期の遺伝
- イネの感光性遺伝子座LmはE_1,E_2,E_3座とは異なる
- イネの基本栄養生長相と感光相の1遺伝子支配
- 水稲の遠縁品種交雑における出穂期および籾の大きさの遺伝
- イネの日印交雑から育成したいもち病抵抗性の新系統BL1〜BL7
- 連鎖利用によるイネ品種「コシヒカリ」「シラヌイ」の出穂期の遺伝子分析
- イネいもち病抵抗性との連鎖を利用して検出した出穂性遺伝子座の複対立性
- イネいもち病菌の突然変異により部分的に変化した非病原性遺伝子の作用
- 連鎖利用によるイネ出穂期の遺伝子分析
- いもち病抵抗性の遺伝子分析のための多菌系接種法
- イネindica品種のいもち病抵抗性と出穂性との密接な連鎖
- イネの日・印交雑によって新たに導入したいもち病抵抗性遺伝子
- 日・印交雑によるイネのいもち病名菌系抵抗性系統「とりで1号」の育成とその抵抗性遺伝子
- 自然日長に対するイネの出穂期遺伝子Lmの反応
- (3) 短期直播用品種の出穂特性に関する研究
- 農業生物資源研究所の研究計画
- 32.日本稲とインドシナ稲との雑種集団における形質の変異 : 日本育種学会第六回講演要旨
- 31.イネのF_2集団における自然淘汰の効果 : 日本育種学会第六回講演要旨
- イネの低温による障害型不稔に及ぼす微気象要因のシミュレーションによる解析
- 畑雑草の防除に関する研究 : 第1報 輪作様式と雑草発生との関係
- イネ黄萎病抵抗性の遺伝に関する研究
- イネくろすじ萎縮病抵抗性の遺伝について
- (144) イネくろすじ萎縮病抵抗性の遺伝 (昭和44年度日本植物病理学会大会講演要旨)
- (6) イネ縞葉枯病ウイルス保毒ヒメトビウンカの無毒化について (昭和38年度地域部会講演要旨(関西部会))
- (97) イネ縞葉枯病抵抗性の品種間差の幼苗検定 (予報) (ウイルス病(昭和38年度日本植物病理学会大会講演要旨))
- 水稲品種農林8号に誘発した早生突然変異の遺伝分析
- イネの遠縁交雑に由来する雌性不稔
- いもち病抵抗性遺伝子P_i-z^tに関するイネの同質遺伝子系統の育成
- イネの日印交雑によって育成したとりで1号のいもち病抵抗性の遺伝
- イネ抵抗性系統の混合集団を用いたトビイロウンカの実験的選抜
- 感光性イネの生殖生長期における長日処理による出穂撹乱
- イネ品種ほまれ錦と銀河のいもち病抵抗性の遺伝-2-畑晩播法によるほまれ錦の抵抗性の遺伝
- イネ縞葉枯病抵抗性品種 (イネ縞葉枯病)
- 文献に見られる日本における伝統的採種法
- 作物遺伝資源の評価と利用 (植物遺伝資源)
- 作物育種と組織培養--その現状と将来
- 作物の病害防除のための多系品種
- イネの日本型×インド型雑種から育成された"とりで2号"のいもち病抵抗性の遺伝
- イネいもち病菌とシコクビエいもち病菌との交配による病原性の遺伝(続報)
- (85) イネ縞葉枯病抵抗性の品種間差の幼苗検定 (第1報) : 集団接種による検定 (ウイルス病(昭和39年度日本植物病理学会大会講演要旨))
- (145) クロルピクリンによるムギ条斑病菌汚染種子の消毒について (昭和38年度日本植物病理学会大会講演要旨)
- (8) 稲紋枯病菌の寄主体侵入 (昭和34年度関西部会)