日本とIRRIとのイネ白葉枯病菌菌糸群の判別体系の比較
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
イネ白葉枯病菌の病原性を異にする菌糸群の判別体系は, 日本とIRRIとで全く別々に確立された。ここでは両判別体系を直接比較するため, 双方の判別品種および代表菌糸を含む若干の品種と菌糸との相互反応を検討した。日本で用いられている針接種法とIRRIの剪葉接種法とによる抵抗性検定結果の間には高い相関関係が認められたので, 本研究ではすべて針接種法を採用した。日本の判別品種のうち, 金南風, 黄玉, Te-tepはフィリピンの4菌糸群に対してすべて感受性を示し, 早稲愛国3号とジャワNo.14はすべて抵抗性の反応を示した。IRRIの判別品種のうち, フィリピンの全菌糸群に感受性のIR8は日本のII, III, V群菌に抵抗性を示したが, フィリピンのII群菌に抵抗性のCas209は日本の全菌糸群に感受性であった。IR20は日本のI, V群菌に抵抗性, IR1545-339とDV85は日本の全菌糸群に抵抗性を示した。日本およびフィリピンの全菌糸群に対する反応を通覧すると, 両体系の判別品種間に共通の反応型を示す品種はなく, 抵抗性遺伝子型が品種ごとに異なることが示唆された。日本の早稲愛国群およびジャワ群に属する品種の多くはフィリピンの全菌糸群に対して抵抗性を示した。フィリピン各地から集めた白葉枯病菌61菌株は日本の判別体系ではすべてIII群に分類されたが, IRRIの判別品種に対する病原性は日本のIII群菌とは異なっていた。
- 日本植物病理学会の論文
- 1981-01-25
著者
関連論文
- 親和性および不親和性組合せでのイネいもち病菌感染葉の電顕観察 : I 侵入菌糸の観察
- 戻し交雑後代のレース反応を利用したイネ品種のいもち病真性抵抗性遺伝子型の推定法
- イネ縞葉桔病抵抗性品種の育成に関する研究 : 第1報 イネ縞葉枯病抵抗性の品種間差異
- イネ白葉枯病の病斑進展に及ぼす温度の影響
- イネ白菜枯病抵抗性に関する遺伝・育種学的研究V.IR28,IR29,IR30の日本産白葉枯病菌(X.campestris pv oryzae)IおよびV群菌に対する抵抗性複対立遺伝子
- イネ白葉枯病抵抗性に関する遺伝・育種学的研究:VI R28の日本産白葉枯病菌I〜V群菌に対する抵抗性の遺伝
- イネ白葉枯病抵抗性に関する遺伝・育種学的研究 : II. 日本在来稲の中に新たに見いだされた早稲愛国群品種について
- イネ白葉枯病抵抗性品種の幼苗反応型
- イネ白葉枯病菌に侵入抵抗性を示すアシカキ水孔と感受性を示すイネ水孔の電顕観察
- インドネシアおよびバングラデシュ産イネ白葉枯病菌の病原性
- 幼苗期に抵抗性の異なる黄玉群イネ品種の幼苗期におけるイネ白葉枯病感染葉の微細構造
- 1977年、1979年の日本におけるイネ白葉枯病菌菌糸の分布
- 日本とIRRIとのイネ白葉枯病菌菌糸群の判別体系の比較
- ニトロソグアニジン処理で誘発されたイネ白葉枯病菌変異株の血清学的性質
- (19) ニトロソグアニジン処理で誘発されたイネ白葉枯病菌変異株の血清学的性質 (九州部会講演要旨)
- 白葉枯病に対するイネ品種抵抗性発現の変動
- 4 Rice Improvement Program of IRRI