白葉枯病に対するイネ品種抵抗性発現の変動
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概要
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イネ品種, IR8, IR20, IR1545にXanthomonas campestris pv. oryzaeの菌株を剪葉接種法, 針接種法および噴霧接種法によって接種し, 発病度を調べた結果, 供試品種について接種法の違いによる病斑長と発病度に明らかな差異はなかったが, 潜伏期間には差異がみられた。最高分けつ期に本病抵抗性遺伝子, Xa4をもつTKM6ならびにそれに由来する系統, およびXa5をもつDZ192ならびにそれに由来する系統の発病度は同じ病原性群内の菌株間で差異がなかった。TKM6に由来する系統に対する病原性群1と病原性群2の病原性には顕著な差異が認められたが, DZ192に由来する系統に対する両病原性群の病原性の間には差異はなかった。異なる葉位および異なる生育時期の発病度を調べた結果, 葉身展開後の経過日数ならびに生育時期が進むにつれて, 発病度は低くなる傾向を示し, とくにこの傾向はイネ品種・病原性群の親和性組合せにおいて顕著であった。IR1695およびIR944のような成体抵抗性(adult plant resistance)をもつ系統の供試全菌株に対する発病度は, 栄養生長期から生殖生長期に進むにつれて徐々に低下した。部分的抵抗性(partial resistance)をもつとみなされている中程度の抵抗性を示す品種の病斑長は, 接種菌濃度が低い場合に著しく短くなった。一方, 成体抵抗性をもつ系統の接種菌濃度の低下による病斑長の変化は, 感受性の対照品種として用いたIR8と同様の傾向を示した。
- 日本植物病理学会の論文
- 1981-01-25
著者
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