局地気候モデルデータを用いた東アジア域の上部対流圏中間規模波動の季節変化の研究
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
春季には存在が確かめられている日本上空の上部対流圏中間規模波動の構造と振舞いについて, その季節変化を東アジアおよび西部太平洋をカバーする局地気候モデルの時間積分値(気象研究所提供)を用いて調べた. 中間規模波動は1年を通じて存在し, 春にもっとも活発である. 夏秋冬にも振幅が小さいながらも存在し, その卓越緯度はジェット気流の南北シフトに対応して移動する. ラグ相関法を用いて東向き位相速度を見積もったところ, 冬には24 mslt;-1gt;, 夏には17 mslt;-1gt;であった. これは総観規模波動の位相速度より常に大きく, 1990年春についての事例解析を行ったSato et al.(1993)の結果とも一致する. この事実はこの中間規模波動が総観規模波動の高調波ではないことを意味する. また波動の鉛直構造についても詳しく調べた. ヴァリアンスの分布は上部対流圏(250-300 hPa)と地表面付近に極大値を持つ. 地表付近の極大に対応する変動成分は上部対流圏の波動よりも小さな位相速度を持つので, 異なったシステムと考えられる. 上部対流圏で位相を合わせたコンポジット解析により, 上部対流圏の波動の振幅は300 hPaで最大であり, そこから離れるほど急激に減少していることが分かった. 鉛直方向の位相の傾きは見られない. これらの結果は上部対流圏中間規模波動が水平方向にも鉛直方向にもジェット気流によって強く制御されていることを示唆している.
- 社団法人日本気象学会の論文
- 1997-02-25
著者
-
山森 美穂
京都大学大学院理学研究科地球惑星科学専攻
-
佐藤 薫
京都大学大学院理学研究科地球物理学教室
-
山森 美穂
東大ccsr
-
山森 美穂
NICT
-
廣田 勇
京都大学大学院理学研究科地球物理学教室
-
廣田 勇
京都大学大学院理学研究科
-
佐藤 薫
京都大学大学院理学研究科地球惑星科学専攻
関連論文
- A162 南極昭和基地大型大気レーダー計画の現状Current Status of Program of the Antarctic Syowa MST/IS Radar(PANSY)(スペシャル・セッション「国際極年(IPY)2007-2008の成果と将来展望」II)
- 2008年秋季オゾン研究連絡会・極域寒冷域研究連絡会合同研究会の報告(研究会報告)
- 気球搭載用水晶摩擦気圧計の開発とBU30-5号機による性能実証試験
- D108 ILAS-IIバージョン1.3による下部成層圏オゾンデータ質の評価(中層大気)
- A461 オゾン層状構造と南極オゾンホール内への質量輸送II(南極大型大気レーダーを軸とした極域大気研究の可能性,専門分科会)
- ロスビー100シンポジウムに参加して
- 中緯度対流圏上部に卓越する中間規模東進波
- 2009年春季極域・寒冷域研究連絡会の報告
- 2008年春季極域・寒冷域研究連絡会の報告(研究会報告)
- 2004年秋季極域・寒冷域研究連絡会の報告
- A210 中高緯度対流圏界領域における高安定度・物質濃度勾配の形成機構(中層大気)
- サブミリ波によるHO_2の日変化観測
- P152 大気光波状構造キャンペーン2004(WAVE2004)において大気光イメージャ・ナトリウムライダー・ロケットチャフ同時観測によって得られた大気重力波の描像
- D163 南半球極域重力波の発生源の研究(中層大気)
- D161 高分解能大気大循環モデルを用いた中高緯度対流圏界領域の解析(中層大気)
- A466 T213L256大気大循環モデルを用いた冬季高緯度中間圏4日波の研究(南極大型大気レーダーを軸とした極域大気研究の可能性,専門分科会)
- A456 高解像度気候モデルを用いた中層大気の大気重力波の研究(南極大型大気レーダーを軸とした極域大気研究の可能性,専門分科会)
- D305 T213L256大気大循環モデルを用いた内部重力波と中層大気大循環の研究(中層大気)
- D304 高解像度気候モデルを用いた冬半球亜熱帯成層圏界面に現れる気温極大の解析(中層大気)
- B165 極渦時間発展の改良ラグランジュ平均解析(スペシャルセッション「高解像度気候モデルによる中層大気研究の可能性」)
- P317 改良ラグランジュ平均座標系で記述する北半球極渦の時間発展
- P326 夏季北米アラスカにおける対流圏界面直上域のオゾン変動(2)
- P420 夏季北米アラスカにおける対流圏界面直上域のオゾン変動
- C306 昭和基地オゾンゾンデ集中観測およびILAS-II観測に基づくオゾン層回復過程の3次元構造の研究(物質循環III)
- 「成層圏過程とその気候影響(SPARC)」計画の活動紹介
- A451 南極昭和基地大型大気レーダー計画Program of the Antarctic Syowa MST/IS Radar(PANSY)(南極大型大気レーダーを軸とした極域大気研究の可能性,専門分科会)
- 2008年度春季大会専門分科会報告
- GPS 搭載型光学オゾンゾンデの開発
- D171 3次元残差循環を用いた成層圏オゾンに関する研究(中層大気)
- D162 上部対流圏-下部成層圏に於ける赤道域重力波の全球分布、励起源と伝播特性の解析 : COSMIC衛星観測とAGCMによる考察(中層大気)
- 4.南極大型大気レーダーを軸とした極域大気研究の可能性(2008年度春季大会専門分科会報告,研究会報告)
- A462 3次元残差循環を用いた物質輸送の研究(南極大型大気レーダーを軸とした極域大気研究の可能性,専門分科会)
- D306 成層圏極渦から発生する重力波(中層大気)
- D209 南極昭和基地大型大気レーダー計画の現状(中層大気)
- PMRデータを用いた冬期南半球成層圏中間圏昇温現象の解析
- 南半球対流圏循環の年々変動及びその成層圏との関係
- 南半球対流圏循環の年々変動
- 南半球対流圏における準定常惑星規模波動
- 南半球対流圏循環の年々変動及びその成層圏との関係
- D302 赤道成層圏QBOに於ける赤道波と内部重力波の役割Part I(中層大気)
- B159 大気大循環モデルを用いた内部重力波の解析(スペシャルセッション「高解像度気候モデルによる中層大気研究の可能性」)
- B151 高解像度気候モデルによる中層大気研究の可能性(スペシャルセッション「高解像度気候モデルによる中層大気研究の可能性」)
- C113 Brewer-Dobson循環の形成に対する放射加熱率と波強制の影響(中層大気,口頭発表)
- 第10回大気・海洋の波と安定性に関する研究集会の報告
- 南半球で解析された惑星規模の循環形態の多様性〔英文〕
- 中層大気(創立125周年記念解説)
- C351 南半球中緯度太平洋上の重力波のレイトレーシング(中層大気)
- 夏季南半球中緯度太平洋上の慣性重力波の特性
- The Meridional Scan of the Stratosphere over the Ocean in 2001 (MeSSO2001)
- 中緯度下部成層圏オゾン層状構造の解析III
- 中緯度下部成層圏オゾン層状構造の解析II
- 中緯度対流圏界面付近の中間規模波動の wave-activity flux 解析
- オゾンゾンデ・ラジオゾンデ・MUレーダーによる集中同時観測 -下部成層圏オゾン層状構造と慣性重力波の解析-
- 対流圏界面付近の中間規模波動およびその背景場との関係 : 準地衡ポテンシャル渦度を用いた解析
- 対流圏界面付近の中間規模波動(波動現象におけるパターンの生成と特異性)
- 対流圏界面付近の安定度分布と中間規模波動との関係
- 対流圏界面付近の準地衡ポテンシャル渦度分布と中間規模波動
- 局地気候モデルデータを用いた東アジア域の上部対流圏中間規模波動の季節変化の研究
- 上部対流圏中間規模波動の鉛直構造
- 上部対流圏中間規模波動の季節変化
- 気象学におけるインターネット(1) : インターネットについて
- P133 オゾンゾンデ3時間毎観測に現れた下部成層圏オゾン変動と重力波との関係
- アラスカにおけるオゾンゾンデキャンペーン観測及び観測結果の3次元化学輸送モデルデータとの比較 (中層・上層大気観測技術特集 アラスカプロジェクトの成果から--北極域大気観測技術の実証) -- (成層圏・対流圏観測実証:大気観測から社会の安全へのアプローチ)
- P133 アラスカ・ポーカーフラットFTIRによるILAS-II v1.4オゾンデータの検証
- D106 オゾンゾンデ3時間毎観測に現われた大気重力波にともなうオゾン変動(中層大気)
- 中間規模波動の出現と総観規模傾圧波との関係
- 中間規模波動出現時の中緯度対流圏界面の構造
- ECMWF客観解析データ用いた対流圏界面付近の中間規模東進波の研究
- ECMWF客観解析データを用いた中間規模東進波の解析
- 北大西洋上に卓越する中間規模東進波
- 冬季北大西洋域における中間規模東進波
- TOGA-COARE集中観測データに基づく下部成層赤道慣性重力波の解析
- 昭和基地連結飛揚観測に基づくラジオゾンデデータ品質比較
- B-2-20 少数アンテナを用いた任意形状運動目標の3次元UWBレーダイメージング(B-2.宇宙・航行エレクトロニクス,一般セッション)
- 研究ニュース
- 南極オゾンホール回復時の輸送・混合過程
- 南極重力波の季節変化と発生源に関する研究
- C161 空間・周波数干渉計法とアレイアンテナ技術による対流圏イメージング(次世代WPRに向けて,ウィンドプロファイラの現状と将来,専門分科会)
- 超広帯域マルチスタティックイメージングレーダのためのSEABED法
- 2010年秋季極域・寒冷域研究連絡会の報告(研究会報告)
- P233 オゾン層状構造と南極オゾンホール内への質量輸送
- 大気重力波と気象学との関わり(非線形波動の数理と応用)
- P322 改良ラグランジュ平均座標系で記述する北極振動の下方伝播
- B-2-13 UWBドップラーレーダ干渉計法による歩行人体イメージングの実験的検討(B-2. 宇宙・航行エレクトロニクス,一般セッション)
- B-2-12 UWBドップラーイメージングレーダを用いた複数歩行人体の分離識別及び外輪郭抽出(B-2. 宇宙・航行エレクトロニクス,一般セッション)
- 赤道域Ku帯衛星回線伝搬路における降水雲分布の影響(オーガナイズドセッション「新たな無線の世界を切り開く電波伝搬の研究」,衛星通信,電波伝搬,一般)
- 研究ニュース
- B-2-24 UWBドップラーイメージングレーダによる歩行人体識別のための視線方向速度分布に関する検討(B-2.宇宙・航行エレクトロニクス,一般セッション)
- B-2-23 UWBドップラーイメージングレーダによる歩行者追尾(B-2.宇宙・航行エレクトロニクス,一般セッション)
- 単一アンテナによる多重散乱波を利用した任意運動目標のUWBレーダイメージング(衛星応用技術及び一般)
- UWBドップラーイメージングレーダを用いた複数歩行人体の高精度分離識別(測位・航法及び一般)
- 3. 中層大気研究の新展開(2012年度春季大会専門分科会報告,研究会報告)
- 1. 岸保勘三郎先生の業績を偲ぶ : 日本の数値天気予報の発展を振り返り,将来を展望する(2012年度春季大会専門分科会報告,研究会報告)
- C170 南極昭和基地大型大気レーダー計画の現状(中層大気研究の新展開,専門分科会)
- C161 高解像度気候モデル中で発生した成層圏突然昇温の回復過程(中層大気研究の新展開,専門分科会)
- B-2-21 UWBドップラーレーダイメージの視線方向速度分布に基づく歩行人体分類(B-2.宇宙・航行エレクトロニクス,一般セッション)
- B-2-20 UWBドップラーレーダイメージのクラスター分析に基づく近接複数歩行者の人数推定(B-2.宇宙・航行エレクトロニクス,一般セッション)
- 1. 新しい南極昭和基地大型大気レーダー(PANSY)から見えるもの(2011年度春季大会シンポジウム「変動する地球気候の鍵-南極・北極-」の報告)
- B-2-19 UWBドップラーレーダ干渉計法を用いた複数運動目標の形状推定(B-2.宇宙・航行エレクトロニクス,一般セッション)
- D301 冬季極域に見られる多重圏界面構造の解析(中高緯度大気・相互作用,口頭発表)