ヨトウガ中腸上皮細胞の刷子縁膜への UDP-N-acetylglucosamine の結合
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概要
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ヨトウガ終齢幼虫の中腸上皮細胞より刷子縁膜を調製し, ^<14>C-UDP-N-acetylglucosamine (UDP-AGA)との結合について検討した.^<14>C-UDP-AGAと刷子縁膜の結合の至適pHは7.0であった.この結合はpolyoxin Dによって強く阻害されること, および刷子縁膜を用いてin vitroでキチンが合成される事実から, この結合はUDP-AGAとキチン合成酵素(C.S.)の結合であろうと考えられた.刷子縁膜によるキチンの合成は15∿25℃の温度範囲内では, 温度が高いほど合成されるキチンの量は多いが, ^<14>C-UDP-AGAと刷子縁膜の結合はむしろ低温のほうが高い.これはC.S.が^<14>C-UDP-AGAと結合し, それをすみやかにprimerに転移し, そのturnoverが高温ほど速いためであろうと考えられた.刷子縁膜にpolyoxin Dを加えると, 結合の約90%は阻害されるが, なお^<14>C-UDP-AGAとの結合能を残している.この結合の至適pHは7.5で, 反応開始後比較的短時間(5分)で結合は最高値に達する.以上の結果から, 刷子縁膜にはC.S.以外にUDP-AGAと結合する物質があると考えられた.しかし, 結合する^<14>C-UDP-AGAの量が少ないため, その物質がUDP-AGA transporterであり, そのtransporterをdiflubenzuronが阻害していると結論を出すまでには至らなかった.
- 日本農薬学会の論文
- 1986-02-20
著者
-
満井 喬
理研
-
満井 喬
The Institute of Physical and Chemical Research
-
多田 満
The University of Tokyo
-
徳田 一恵
The Institute of Physical and Chemical Research
-
信沢 智恵子
The Institute of Physical and Chemical Research
-
多田 満
Faculty of Agriculture, University of Tokyo
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