ヨトウガ培養表皮の幼虫-蛹への転換に及ぼすエクダイソンと幼若ホルモンの作用
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概要
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ヨトウガ終齢幼虫の表皮片を5齢幼虫に移植した.Hostが最終脱皮するときに移植片も新表皮を形成した.終齢2日目までの幼虫表皮は幼虫型の表皮を形成したが, 3∿4日目にかけて幼虫表皮形成割合が急激に減少し, それ以後は幼虫表皮を形成することはなかった(すべて蛹型表皮を形成).このことは幼虫から蛹へのcommitmentが3日目に起こることを意味する.終齢幼虫1日目の表皮片をGrace's mediumで前培養して5齢幼虫に移植すると, 培養時間に比例して幼虫表皮形成割合が減少した.前培養なしでは80%の幼虫表皮を形成したが, 72時間培養するとすべて蛹型表皮を形成した.一方, Juvenile hormone-I(JH-I)を含むGrace's mediumで培養すると72時間後でも幼虫型表皮が形成された.これに対してβ-ecdysoneは蛹へのcommitmentを促進する効果があり, 24時間の培養で幼虫表皮を形成することはなかった.一度, 蛹型表皮にcommitmentされると, in vitroの条件でJH-Iと接触しても幼虫型表皮に戻ることはなかった.したがって, ヨトウガにおけるcommitmentの転換は真皮細胞からJH-Iが除外されるだけでなくβ-ecdysoneが必要であると結論した.JH-Iは10^<-8> Mオーダーで蛹へのcommitmentを抑制した.メソプレンはJH-Iの約1/70の活性があったが, JH-IIIにはほとんど活性は認められなかった.この系においてanti-JHとして知られるEMD, ETB, KK-42とJH-Iとを競合させたが, すべて幼虫型表皮を形成し, 抗幼若ホルモン活性は認められなかった.
- 1989-08-20
著者
-
満井 喬
The Institute of Physical and Chemical Research
-
堤内 清志
The Institute of Physical and Chemical Research
-
宮台 俊明
The Institute of Physical and Chemical Research
-
満井 喬
東京農業大学総合研究所
-
Mitsui T
The Institute Of Physical And Chemical Research
-
宮台 俊明
The Institute Of Physical And Chemical Research:(present Address)department Of Microbiology Fukui Me
-
堤内 清志
The Institute Of Physical And Chemical Research:(present Address)ube Research Laboratory Ube Industr
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