緑地の土壌環境に関する研究(1) : 沿海地における常緑街路樹の土壌と生育
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概要
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九州の北西部にあって松浦川の河口に位置する佐賀県唐津市を通過する国道202号線の一部に植栽されているホルトノキ,マテバシイの街路樹(植栽後1年から15年経過)の生育が,部分的に著しく不良なため,その植栽環境を調査した.梢端枯損,葉量の減少・不足,葉色黄化,生長減退などの症状を示した街路樹群の土壌環境は,予想に反して,健全な樹木群のそれと,それ程劣るところはなく,三相分布,透水性,土壌硬度などの物理性, 炭素, 窒素,リン酸,カリ含量,酸度などの化学性はほぼ適正な値を示した.微地形的な気象要因,主として冬期の季節風が水ストレスを与えることで街路樹の生育に影響していると考えられ,沿海都市での街路緑地では季節風と塩風による慢性的なストレスが樹木に発生するものと思われる.The roadside plantation consisting of Elaeocarpus syluestris var, ellipticus and Pasania edulis 1-15 year-old after planting, which located along National road 202 on Matsuura River in Karatsu, Saga, in northwestern part of Kyushu, have been investigated as for the plantation surroundings of soil and climate, because some of the roadside trees were damaged on growth and seemed to lose their vigorousness. Although they showed the symptoms of death of stem top and tips of branches, defoliation, colorless of green leaves, retardation of growth, decrease of foliage, the soil physical and chemical conditions of damaged trees were almost same as normal or healthy trees, concerning soil profile, three-phases distribution, water permeability, water retentivity, soil hardiness, gravel content, carbon content, nitrogen content, phosphate content, potassium content and acidity. From the results of topographical analysis the damages in trees seemed to occur in the area faced to the river or without windbreak against north wind. It was, therefore, thought that the microclimatic condition, mainly the prevailing severe and cold wind in winter which were brought through Matsuura River, might cause the water stress in trees and affected the tree growth. It could be said that the prevailing wind in winter gives chronic damage more than soil condition to ornamental plantation in coastal city and causes stress on growth.
- 九州大学の論文
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