移植後の樹木木部の水分通導性の変化と木部の解剖学的観察
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概要
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移植後の樹木木部の水分通導性の変化を, 水分通導組織の走査電子顕微鏡観察により解剖学的に裏づけた。アラカシ, クスノキ, クロマツの根系とシュートを適度にせん定した後, 移植した。移植の際のせん定で形成された根の切口からの水の流入は, 移植後早い時期に停止した。これは, アラカシとクスノキの場合, 根の切口が土壌粒子や菌糸で覆われたり, 切口付近の道管がチロースで塞がれたためであり, クロマツの場合, 根の切口が土壌粒子や樹脂, 菌糸で覆われたり, 切口付近の仮導管の有縁壁孔が閉鎖したためである。スペリン化した根の表面からの水の流入と, 根木部の水分通導性は完全に失われることはなく, 土壌中の水は根の木部に達しさえすれば, 樹体内を移動することができる。幹木部と, 根の切口から離れた部分の木部の水分通導性の減少は, アラカシとクスノキの場合, 道管内腔のチロースによる閉塞が, クロマツの場合, 有縁壁孔の閉鎖が原因である。
- 日本森林学会の論文
- 1988-09-01
著者
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