スギ人工林の光合成生産機構に関する研究(IV) : 立木の光合成

概要

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樹冠内の光環境を考慮して立木の総光合成量を推定する方法を示した。この方法を用い, 6,11,20,43,68年生の5林分を対象として, 立木の光合成について検討したところ, 以下のとおりであった。(1)立木光合成量と林分上照度との関係は, 高齢林の立木ほど強い不飽和型を示した。立木光合成量は, 林齢が進むにつれ増大するが, 林冠が閉鎖する前後では一時的に停滞するようであった。(2)立木生長が進むにつれ低照度の光を受ける葉の割合が増し, 樹冠の生産効率(立木光合成量を葉量で割った値)は低下した。低下は林冠が閉鎖する前が急激で, 閉鎖後は緩やかであった。(3)樹冠頂端から底部までを4等分の長さに層区分した場合, 各層の光合成量の比率は, 林齢が進むにつれ最下層のIV層で減少し, I, II層の上層部が徐々に大きな割合を占めるようであった。樹冠の葉量を4等分して層区分した場合, 各層の比率は林冠が閉鎖した後ではほとんど変化せず, I, II層の上層部が70%弱, III, IV層の下層部が30%強を占めた。
日本森林学会の論文
1983-11-25