沸騰までの時間と米飯食味との関係(第1報) : 文化鍋の場合
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概要
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文化鍋を用い、都市ガス加熱をした米飯を対象として、点火から沸騰までの食味上好ましい時間範囲を検討し、数種の客観測定や観察を行った。官能検査:この研究では、米飯容量(2/5,4/5)に関係なく、点火後6分・10分・12分沸騰米飯は、これより短縮(4分沸騰)、延長(15分・24分沸騰)した各米飯との間に1%の危険率で有意差がみられ、食味上位を示した。またこの条件では米飯容量に関係なく、最初の火力をガス流量4.1〜5.71/min(4.5kcal/m^3)で加熱すれば、点火後6〜12分後で沸騰し、おいしい米飯が得られることが分かった。客観測定:次の1)〜5)の測定結果はそれぞれ沸騰までの時間が短縮(4分)、中間(6分・10分・12分)および延長(15分・24分)米飯に関するものである。1)水分含量は、炊き上がり時にはそれぞれ61%、62〜63%および64%であった。沸騰時には炊き上がり時の対応する値に対して、それぞれ78%、81〜86%および98〜100%であった。2)重量比・体積増加比では前者はそれぞれ2.2、2.3および2.4・2.5であった。3)混捏抵抗値はそれぞれ347gcm、250〜278gcmおよび206gcm・222gcmであった。4)脱水率は、10分経過後12.6%、12.7%および14.1%であった。5)α化度は、沸騰時にはそれぞれ58.0%、59.1%・74.5%および94.2%であり、炊き上がり時にはどの米飯も96%を越していた。6)還元糖量は、沸騰時には76mg%、130mg%・141mg%および333mg%であり、炊き上がり時には115mg%、、203mg%・236mg%および378mg%であった。7)組織形態は、4分、10分、24分沸騰の氷結横断切片をライトグリーン染色でみると(25倍)、細胞膜の膨潤では3者間に大差がみられなかった。三重染色でみると沸騰までの時間の経過につれて澱粉粒は紫から赤、無色へと変化し、還元糖生成状況が明らかになった。これらの倍率をあげて(100倍)澱粉粉を比較すると、4分沸騰の膨潤は他に比べて極めて小であった。
- 日本調理科学会の論文
- 1990-11-20
著者
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