炊飯過程における部位的変化について(第 2 報) : 米飯粒
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概要
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この研究は炊飯の部位的研究をすすめるもので, 2つの目的で行なった。第1に, 前報で見出された食味の部位差が, 他の自動ガス炊飯器にも共通であるか否かを調べた。すなわちパロマPR 1号-KFによる米飯について, 釜肌上部, 中心部, 中心底部の食味を採点法によって評価した。その結果, 前報で用いたリンナイ5号-Aと同様に0.1%の危険率で有意差がみられ, 釜肌上部が中心底部より美味と認められた。このことから, 従来の自動ガス炊飯器による米飯には食味部位差のあることがわかった。第2に, 前報に続いて, リンナイ製自動ガス炊飯器5号-Aによる米飯粒につき, 次の実験を行なった。上記3部位につき, 炊飯中における沸騰・スイッチオフ・種火消火・炊き上りの各時点で, 米粒内外の温度を測定し, 細胞の形態的変化の観察を行なって, どの時点から部位差を生ずるかを調べ, 食味との関係を検討した。その結果は次の通りである。1.米粒内の温度は, 米粒間の温度とほとんど同様の上昇状態を示した。2.点火から沸騰までの米粒内温度の上昇は, 釜肌上部, 中心部がほぼ同じ速さを示し, 中心底部が遅れて上昇した。3.米飯粒の外形において, 長さでは, 沸騰時以後長い方から釜肌上部, 中心部, 中心底部の順位を示した。幅では, 釜肌上部が他の2部位より長くみられた。厚さでは, 各時点において部位差はほとんどみられなかった。4.Cross sectionにおける芯は, 沸騰とスイッチオフの時点にのみ認められ, 芯のある米粒の全体に対する割合, 芯面積の割合は, 各時点とも大きい方から中心底部, 中心部, 釜肌上部の順位を示した。5.Cross sectionにおける背側細胞の長径はスイッチオフ以後, 短径は種火消火以後, 長い方から釜肌上部, 中心部, 中心底部の順位を示した。6.Longitudinal sectionにおける背側細胞の短径は, スイッチオフ時以後, 釜肌上部が他の2部位より長くみられた。
- 1980-06-30
著者
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