硬質米と軟質米の食味について(続) : 異なる貯蔵法と加熱法
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概要
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異なる貯蔵法の影響をみるために, 硬質米である福岡県産「ニシホマレ」のもみ, 同玄米と軟質米である宮城県産「ササニシキ」, 島根県産「日本晴」の玄米とを何れも自動ガス炊飯器炊飯(以後ガス炊飯と呼ぶ)とし, 炊きたて米飯において比較した。又, 異なる加熱法の影響をみるために, 福岡県産「レイホウ」のかまど炊飯, ガス炊飯と宮城県産「ササニシキ」・島根県産「日本晴」の各ガス炊飯とを炊きたて米飯と冷飯とにおいて比較した。この場合は全て玄米貯蔵米を使用した。又, 何れも与えられた条件で, 食味上最も好ましい方法で炊いた米飯を用いて食味を比較し, 客観測定を行なって次のような結果を得た。〔官能検査〕1.異なる貯蔵法と食味採点法によって比較しを結果, 平均値順位では食味上位から「ササニシキ」, 「日本晴」の玄米, 「ニシホマレ」もみ, 同じく玄米の順であった。なお, 「ササニシキ」, 「日本晴」と「ニシホマレ」玄米との間には5%の危険率で有意差が認められたが, これらと「ニシホマレ」もみとの間には有意差がみられなかった。2.異なる加熱法と食味採点法によって比較した結果, 炊きたて飯の場合, 「レイホウ」かまど炊飯, 「レイホウ」ガス炊飯, 「ササニシキ」ガス炊飯, 「日本晴」ガス炊飯の4者間に有意差は認められなかった。冷飯の場合, 平均値順位では食味上位から「ササニシキ」ガス炊飯, 「レイホウ」ガス炊飯, 「レイホウ」かまど炊飯, 「日本晴」ガス炊飯の順となり, 4者間に1%の危険率で有意差がみられた。〔客観測定〕1.異なる貯蔵法と食味1)水分含量「ニシホマレ」もみ63%, 同じく玄米64%, 「ササニシキ」玄米61%, 「日本晴」玄米62%であった。2)体積増加比「ニシホマレ」もみ, 同じく玄米凡そ2.5,「ササニシキ」玄米, 「日本晴」玄米凡そ2.4であった。3)硬粘度混捏抵抗値でみると, 「ニシホマレ」もみ301g.m., 同じく玄米270g.m., 「ササニシキ」玄米369g.m., 「日本晴」玄米327g.m., であった。4)脱水率「ニシホマレ」もみ, 同じく玄米, 「日本晴」玄米はあまり変らず, 「ササニシキ」玄米のみ低い値を示した。2.異なる加熱法と食味1)水分含量炊きたて飯では「レイホウ」かまど炊飯61%, ガス炊飯64%, 「ササニシキ」ガス炊飯61%, 冷飯では「レイホウ」かまど炊飯60%, ガス炊飯62%, 「ササニシキ」ガス炊飯59%であった。2)体積増加比炊きたて飯では「レイホウ」かまど炊飯, ガス炊飯, 「ササニシキ」ガス炊飯共に凡そ2.4であった。冷飯では「レイホウ」かまど炊飯, ガス炊飯凡そ2.3,「ササニシキ」ガス炊飯2.2であった。3)脱水率炊きたて飯では「ササニシキ」ガス炊飯が最も低く, 「レイホウ」かまど炊飯, ガス炊飯の順に続いた。冷飯では「レイホウ」かまど炊飯が極めて値が低く, 「ササニシキ」ガス炊飯, 「レイホウ」ガス炊飯の順に続いた。4)硬粘度混捏抵抗値は炊きたて飯で, 「レイホウ」かまど炊飯293g.m., ガス炊飯258g.m., 「ササニシキ」ガス炊飯369g.m., であった。冷飯では何れも高く, 「レイホウ」かまど炊飯674g.m., ガス炊飯599g.m., 「ササニシキ」ガス炊飯826g.m., であった。
- 福岡女子大学の論文
- 1983-01-30
著者
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山下 純子
(元)福岡女予大学
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中野 和子
福岡女学院短期大学
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中野 和子
福岡女子大学家政学部調理学研究室
-
上野 千佳子
福岡女子大学家政学部調理学研究室
-
石橋 千恵
福岡女子大学家政学部調理学研究室
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内野 美子
福岡女子大学家政学部調理学研究室
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山下 純子
福岡女子大学家政学部調理学研究室
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中野 和子
福岡女子大学・人間環境
-
中野 和子
福岡女子大学(元)
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